2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16002013
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
木下 一彦 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30124366)
|
Keywords | 一分子観察 / 一分子操作 / リニアー分子モーター / ミオシンV / 歩行動作 / F_1-ATPase / 蛍光性ATP / 磁気ピンセット |
Research Abstract |
(1)ミオシンの歩行運動の可視化 ミオシンVの脚部にミクロンサイズの長い目印として微小管を結合させ、「歩行動作」の直接観察を試みている。目印の動きを邪魔しないよう、レールであるアクチンを2個の巨大ビーズの間に橋渡しし、微小管付きミオシンを結合させたところ、脚(微小管)が2つの向きの間を行き来しながら進んでいくのが見えた。この系の実現はきわめて困難で観察例がなかなか増えないので、逆に微小管を固定し、アクチン線維のほうが動く系も開発した。これにより長時間観察が可能となり、着地した(と考えられる)脚がぐっと前に傾くところ、引き続きその脚が持ち上がって回転ブラウン運動するところ、が交互に見えるようになった。2本足の分子モーターに期待されている歩行動作を、初めて直視できたわけである。現在、さらに新しい観察系の開発に取組んでいる。 (2)F1-ATPaseの回転機構 回転と活性部位における化学反応の連携を明らかにするため、(磁気)ビーズにより回転を観察ないし制御しながら、蛍光性ATPアナログの結合・解離を観察している。結合した蛍光性ヌクレオチドは回転子であるγサブユニットがちょうど240°回転したとき解離する;これと符牒を併せ、結合した蛍光性ヌクレオチドの数は正常な120°ステップ回転を行っている最中は常に2個;この数が1個に減ると80°近辺での短い停止を含む不規則な回転が始まる、などが分かりつつある。また、ATP結合が回転の大部分を駆動するという従来の結果と表裏の関係にある、回転に伴うATP親和性の変化も、可視化できつつある。 一方、回転子γの固定子にもぐり込んだ先端部分を大きく削除してもトルクが出るという、まったく予想外の結果が得られ、回転機構の解明は振出しに戻るかもしれない。 回転の温度特性からの回転機構の推定、トルクの直接測定、逆回転によるATP合成、などにも取り組んでいる。
|
Research Products
(4 results)