2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16002013
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
木下 一彦 Waseda University, 理工学術院, 教授 (30124366)
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Keywords | 一分子観察 / 一分子操作 / 回転分子モーター / F1-ATPase / リニアー分子モーター / ミオシンV / トポイソメラーゼ / 光ピンセット |
Research Abstract |
(1)F1-ATPaseの回転機構 F1は、α_3β_3の6個のサブユニットが作る筒の中でγサブユニットが回転する回転分子モーターである。結晶構造をみると、γのアミノおよびカルボキシル末端はそれぞれαヘリクスを形成し、両者がコイルドコイルとなってα_3β_3の筒の中央に深く突き刺っている。いわば回転軸である。この回転軸を遺伝子的に全部削り取って、残りのγ頭部がα_3β_3の筒の入り口にちょこんと乗っただけにしてしまっても、γは正しい方向に100回転以上回るという、驚くべき結果が得られた。時々不規則な動きも見られるのだが、これはγ頭部の向きが結晶中と大きく異なるとしないと説明できそうもない。いずれにしても、結晶構造に基づいた従来の回転モデルは振り出しに戻ると言わざるをえない。逆に、ヘリケースなどF1に類似の構造を持つ他のたんぱく質も回転する可能性があることを示唆するものともいえる。 一方、回転軸のカルボキシル末端を、βサブユニットと遺伝子的につないでしまっても、野生型とほとんど遜色のない回転をすることがわかった。この変異体を用いると、上記の回転軸の切り欠き以外の欠損をγサブユニットに加えることが可能であり、どこまで削っても回転が失われないかを調べている。 4℃から50℃の間でF1の回転および加水分解活性を調べたところ、低温では、ATP待ちの角度付近に、ATP待ち以外の律速過程が出現することがわかった。ADP解離が有力である。 (2)トポイソメラーゼの働きの可視化 光ピンセットを使って2本のDNAを絡ませ、そこにトポイソメラーゼを作用させると、絡まりが解けてビーズが浮き上がることを示した。 (3)ミオシンの足首の運動 我々の提唱しているミオシンの爪先上下機構を検証するため、ミオシンVの足首の角度がATP依存的に変化するのを一分子観察する試みを開始した。
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Research Products
(20 results)