2004 Fiscal Year Annual Research Report
マウス嗅覚受容体多重遺伝子の転写調節領域の網羅的解析と単一発現制御機構の解明
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16011213
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西住 裕文 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (30292832)
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Keywords | マウス / 嗅覚受容体 / 軸索投射 / in situ hybridization法 / 感覚神経 / RT-PCR法 / レーザーマイクロダイセクション法 |
Research Abstract |
匂い分子の情報は、嗅上皮において嗅神経細胞(olfactory sensory neuron : OSN)に発現する嗅覚受容体(odorant receptor : OR)によって受容され、嗅覚情報処理の一次投射先である嗅球において、活性化された糸球の位置という二次元情報に変換される。本研究では、OR分子の種類に1対1で対応している糸球モジュールが、どのような法則の基に嗅球上に配置され、いわゆる匂い地図を作り上げているのかを明らかにすることを目指している。 これ迄の研究から、ORの発現様式によって規定される嗅上皮上の4つのゾーンに対応して、嗅球上にも4つのゾーンがあると一般的に受け入れられてきた。今回我々は、ゾーン4特異的な数多くのOR遺伝子の嗅上皮上での発現領域についてin situ hybridizationによる体系的な解析を行った。その結果、これらOR遺伝子はこれまで言われてきたようにゾーン内全域に分散して発現しているのではなく、特定の領域に偏りをもって発現していることが明らかとなった。次に各ORの嗅上皮上での発現の偏りが、嗅球上のOSNの軸索の投射先にどう連関しているかを解析する為、個々の糸球をレーザーマイクロダイセクション法により切り出し、mRNAを抽出して逆転写させた後、degenerated primersあるいはOR特異的なプライマーを用いたPCRにより、その糸球がどのOR遺伝子のターゲットとなっているかを検討した。因みに、ORのmRNAは微量ながら軸索を通して糸球にまで輸送されるので、嗅球上の各糸球に存在するOR mRNAを同定することによって、各OR遺伝子の投射先を特定することができる。今回の解析により、ゾーン4内のOSNは嗅上皮上での限局したOR遺伝子の発現領域に対応して、その軸索を嗅球上のゾーン4内の限られた領域に投射していることが明らかとなり、OSNの軸索投射に関してこれ迄考えられていたゾーン対ゾーンの対応について、一部再検討する必要のあることが示唆された。
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Research Products
(3 results)