2004 Fiscal Year Annual Research Report
バセドウ病の疾患感受性遺伝子の同定と機能解析、及び臨床像との連関
Project/Area Number |
16012233
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
赤水 尚史 京都大学, 医学研究科, 助教授 (20231813)
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Keywords | 遺伝子 / ゲノム / 内科 / 免疫学 / バセドウ病 |
Research Abstract |
バセドウ病は、TSH受容体自己抗体によって複数の遺伝因子と環境因子によって引き起こされる臓器特異的自己免疫性疾患である。我々はこれまでに、多因子性疾患の一つであるバセドウ病の遺伝的素因について検討してきた。候補遺伝子アプローチとして、自己抗原であるTSHレセプター遺伝子と免疫制御分子であるCTLA遺伝子を中心に検討し、マイクロサテライト多型マーカーによって有意な相関を得た。また、5q23-33に存在するマイクロサテライト多型マーカー数個において有意な関連を認めた。そこで、今回の研究においては、1)候補遺伝子の一つであるTSH受容体遺伝子のSNPを用いて、Blockの存在と同病との関連の検討を行った。2)5q23-q33において、免疫関連遺伝子を中心として候補遺伝子をpick upし、SNPやマイクロサテライト多型マーカーによる関連解析を行った。 1)TSHR遺伝子内のSNPを用いて関連解析: これまでのSNPを用いた研究で、TSHR遺伝子領域は大きく3つのBlockに分割され、Block内haplotypeを用いた関連解析では、intron1後半からintron8前半を含む2つ目のBlockでバセドウ病と有意な関連が見られた。そこで、エクソン7から8付近に分布する10個のSNPを用いて連鎖不平衡解析を行い、3つのBlockに分割された。JST022302と連鎖不平衡にあるいくつかのSNPにおいてもバセドウ病との関連が認められた。橋本病とはこの領域内において関連は認められなかった。さらに、JST022302と連鎖不平衡の強い8つのSNP(Block3)を用いてハプロタイプ解析を行ったところ、2つのみの高頻度ハプロタイプが検出され、Major Haplotype頻度はAITD、特にGraves'で有意な上昇が見られた。 2)Ch5q21-33領域の解析: Ch5q23-31領域内の、免疫関連遺伝子IL4、IL13、IL9等のSNPを用いた関連解析では有意な関連が見られなかったが、IRF1のintron 9にあるSNPでAITD、GDで有意な関連が見られた。 以上より、TSHR遺伝子エクソン7-8領域はバセドウ病の疾患感受性領域と考えられた。今後、同領域SNPを用いた機能解析が必要である。
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Research Products
(8 results)