2004 Fiscal Year Annual Research Report
PD-1欠損マウスを用いた自己免疫疾患感受性遺伝子の網羅的探索
Project/Area Number |
16012235
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡崎 拓 京都大学, 医学研究科, 研究員(COE) (00362468)
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Keywords | 自己免疫疾患 / 免疫補助シグナル / 自己免疫寛容 / 連鎖解析 / I型糖尿病 |
Research Abstract |
自己免疫疾患は多遺伝子疾患であるため、一つの遺伝子に注目するのではなく、複数の遺伝子による協調的な制御機構を解明することが必須である。最近我々は、免疫抑制受容体PD-1を欠損させたマウスが、マウスの系統により異なる種類の自己免疫疾患を発症することを見出した。そこでPD-1欠損を用いることにより自己免疫疾患感受性遺伝子が効果的に解析できると予測し、PD-1欠損マウスを用いて連鎖解析を行っている。今年度はI型糖尿病を高頻度に発症するNOD-PD-1欠損マウスを用いてI型糖尿病感受性遺伝子の連鎖解析を行った。NOD-PD-1欠損マウスとC57BL/6-PD-1欠損マウスの交雑F2マウス、及びBC1マウスを各々200匹作成したところ、15週齢までにF2マウスの約20%、及びBC1マウスの約40%が糖尿病を発症した。74個のマイクロサテライトマーカーを用いて遺伝子型を決定し、糖尿病発症との連鎖解析を行ったところ、BC1マウスの解析では既報の28種類の遺伝子座のうち、3領域のみが有為な相関を示した。また、F2マウスの解析から優性に働く新規遺伝子座を2領域同定し、Iddp1、及びIddp2と命名した。 NODマウスを用いたI型糖尿病の連鎖解析は世界中で広く行われているが、そのほとんどが劣性遺伝子座しか解析できないBC1マウスを用いており、今回の解析が初めての全染色体を対象とした優性遺伝子の連鎖解析と言える。また、I型糖尿病発症がPD-1欠損と合わせて6種類の遺伝子変異のみで説明できる可能性があり、分子病態の解明に大きく近づいたと期待される。 今後複数遺伝子による自己免疫疾患制御機構を解明する上で、PD-1そのものの機能をより詳細に解析することは重要である。PD-1がCTLA-4と協調してCD8陽性T細胞の自己寛容成立に必須の役割を果たしていることを解明し、論文報告した(研究発表-1)。
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Research Products
(3 results)