2004 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム多型及び遺伝病の成因としての自然DNA酸化損傷とその修復機構の破綻
Project/Area Number |
16012248
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中別府 雄作 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (30180350)
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Keywords | 8-oxoguanine / 自然突然変異 / 酸化的DNA損傷 / 一塩基多型 / 組み換え / ゲノム多様性 / ゲノム進化 / 修復 |
Research Abstract |
1.研究の目的と進め方 近年のゲノム配列の解析から,ゲノム配列には個体差,すなわち遺伝子多型が存在することが明かとなり,疾患との関連から大掛かりなスクリーニングが展開している。遺伝子多型の中で最も頻度が高いものが一塩基多型(single nucleotide polymorphisim,SNP)であるが,その成因に関する研究はまだほとんど手つかずの状態である。また,遺伝病の原因となる突然変異も多型と同じメカニズムで生じる可能性があるがその解明は全く手付かずである。 本研究では,SNPの成因の1つとしてヒトゲノム上に恒常的に存在する8-oxoGの存在様式とその原因を明かにするとともに,SNPデータベースをもとに8-oxoGにより引き起こされうる塩基置換,すなわちG:C to T:A並びにA:T to C:Gトランスバージョンのゲノム上の頻度と分布を解析し,8-oxoGの存在部位との関連を解析した。 2.研究の成果 我々はヒト末梢血リンパ球の染色体標本上での8-oxoGの免疫学的in situ検出を試み、ゲノムワイドに検出領域の同定と検出頻度の解析を行った。その結果ヒト染色体上には個体間で共通に8-oxoGが高頻度に存在する領域が200ケ所以上存在することが明らかになった。これらの領域の共通の特徴を抽出する目的で、実験結果と各種ヒトゲノム情報との比較解析を行った結果、染色体ごとの8-oxoGの存在頻度と組換え頻度の間に正の相関を認めた。さらに各染色体上の組換え頻度が高い領域に8-oxoGが有意に高頻度に存在する事がわかった。また、8-oxoGの存在と塩基置換頻度との関連を解析するために、SNPデータベースより塩基置換のスペクトル別にSNP頻度を算出し,比較解析を行った。その結果,8-oxoGが存在する領域においてはグアニンが関与する塩基置換の頻度が有意に高いことがわかった。以上の結果は,8-oxoGが生殖細胞の組換え頻度とSNP頻度の両方に影響を及ぼしていることを示しており、定常状態でゲノム上に存在する8-oxoGがヒトゲノムの多様性を生み出す原動力になっている可能性を示唆する。
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[Journal Article] Structure of human MTH1, a Nudix family hydrolase that selectively degrades oxidized purine nucleoside triphosphates.2004
Author(s)
Mishima M, Sakai Y, Itoh N, Kamiya H, Furuichi M, Takahashi M, Yamagata Y, Iwai S, Nakabeppu Y, Shirakawa M.
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Journal Title
Journal of Biological Chemistry 279・32
Pages: 33806-33815