2004 Fiscal Year Annual Research Report
原核生物・真核生物のイオン輸送体を統制する構造の探索
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16013219
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
魚住 信之 名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 教授 (40223515)
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Keywords | Ktr系 / AtHKT1 / 膜挿入 / 膜配向性 / トランスポーター / チャネル / ラン藻 / イオン選択孔 |
Research Abstract |
1 ラン藻(Synechocystis sp. strain PCC 6803)のKtr系はCCCPの添加で阻害され、H駆動力のない変異株に発現させると輸送活性が検出できなかったことから、H駆動力がKtr系輸送体に関与することが示唆された。また、ラン藻に高浸透圧ストレスを与えるとKの流出が起こり、そのK流出を補うKの取込みに関与して、浸透圧変化に適応するのに必須なK取込み系として機能していることが明らかとなった。らん藻のHKT/Trk/Ktr系Na/Kトランスポーターにおいて、他の生物のホモログ輸送体からは見いだされていない細胞質性因子KtrAとKtrEをHisタグ融合蛋白質として大腸菌で発現させて精製した。 2 ラン藻・シロイヌナズナ・小麦のNa/Kトランスポーター(KtrABE,AtHKT1,wHKT1)は8回の膜貫通構造をとる。第8番目の膜貫通領域に存在する正電荷アミノ酸を他のアミノ酸に置換してイオン選択性への関与を検討した。野性株のArgからLysへの置換はイオン透過性が保持されたが、負電荷アミノ酸や極性のないアミノ酸への置換はイオン透過性が失われた。この正電荷アミノ酸は本輸送体の機能に重要であることが分かった。 3 小胞体膜挿入系を用いてShaker型Kチャネルの膜挿入機構を検討したところ、植物のKチャネルと比較して膜電位センサー以外の膜貫通領域の挿入機構は同様であり、膜電位センサーを形成する第3番目の膜貫通領域は自律的に膜へ挿入することが明らかとなった。 4 ラン藻のNa/Hトランスポーターのうち他の生物では見いだすことができない特徴的な配列を保持した機能不明のトランスポーターを大腸菌発現系で機能発現することが分かり、Na排出活性があることを確認した。植物の報告されているNa/Hトランスポーターと機能の観点からも高いことが分かった。
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[Journal Article] Na^+-dependent K^+ uptake Ktr system from the cyanobacterium Synechocystis sp.PCC 6803 and its role in the early phases of cell adaptation to hyperosmotic shock.2004
Author(s)
Matsuda, N., Kobayashi, H., Katoh, H., Ogawa, T., Futatsugi, L., Nakamura, T., Bakker, E.P., Uozumi, N.
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Journal Title
J.Biol.Chem. 279
Pages: 54952-54962
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