2004 Fiscal Year Annual Research Report
「小胞状構造体」の形成に関わる細菌細胞膜のダイナミクス
Project/Area Number |
16013221
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村田 幸作 京都大学, 農学研究科, 教授 (90142299)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 渉 京都大学, 農学研究科, 助教授 (30273519)
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Keywords | スフィンゴモナス属細菌 / 体腔 / プロテオミクス / 細胞外膜タンパク質 / 鞭毛 / フラジェリン / アルギン酸顆粒結合 / レセプター |
Research Abstract |
高分子物質アルギン酸を直接細胞質に取り込むグラム陰性(スフィンゴモナス属)細菌(A1株)において、細胞表層分子の流動再編成により生じるアルギン酸濃縮器官(体腔)の形成機構を、分子レベルで解析した。プロテオーム解析により、体腔の形成と機能に関わる候補タンパク質として、8種類の細胞表層をタンパク質[p1-p4,シデロフォア依存的鉄トランスポーター;p5-p6,フラジェリン;P7,機能不明リポタンパク質;p8,顆粒結合タンパク質(ホモロジー解析による推定)]を見出した。そこで、p5,p6,p8の機能解析を進めた。p6或いはp8遺伝子破壊株はアルギン酸最少培地において、野生株と比較して有意な生育遅延を示した。また、p6遺伝子破壊株は、野生株と比較して、細胞表層において不鮮明な襞構造と不完全な体腔を示した。抗p5抗体を用いた免疫電顕により、P5は細胞表層に点在することが分かった。表面プラズモン共鳴法により、p5とp6は、アルギン酸と濃度依存的に結合し、それらの解離定数は〜10^<-9>Mレベルであることが判明した。p8は、アルギン酸と結合するが、同時に解離する性質(K_d=10^<-7>M)も認められた。以上の結果から、A1株において、フラジェリンホモログは、鞭毛形成よりも細胞表層タンパク質として、細胞外アルギン酸との相互作用、並びに襞構造の構築と体腔の形成に機能することが明らかになった。特に、アルギン酸と高い結合性(K_d=10^<-9>M)を示すことから、「体腔」の形成や代謝酵素の発現を制御するシグナル伝達に関わるレセプターとして機能する可能性が考えられた。このことは、鞭毛の起源と進化を理解する上で重要である。また、p8が、ペリプラズム局在性アルギン酸結合タンパク質と、同等のアルギン酸解離定数を示すことは、p8のアルギン酸との結合・解離能と体腔のアルギン酸濃縮機能との関連を実証する手がかりになると判断できる。
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Research Products
(6 results)