2004 Fiscal Year Annual Research Report
古細菌ゲノムに散在する可動性イントロンの集団内伝播と進化のダイナミクス
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16013222
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野村 紀通 京都大学, 農学研究科, 助手 (10314246)
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Keywords | 古細菌 / ゲノム多型 / イントロンホーミング / 遺伝子水平伝播 / ホーミングエンドヌクレアーゼ / 利己的遺伝子 / 可動性イントロン / 超好熱菌 |
Research Abstract |
古細菌rRNA遺伝子には多数の可動性イントロンが散在し,その各々の内部ORFにはLAGLIDADG型ホーミングエンドヌクレアーゼ(HEase)がコードされている.HEaseはこれらのイントロンの部位特異的転移を司る鍵酵素であり,ゲノム塩基配列の中からイントロンの転移標的を検索・切断しホーミング(homing)過程を開始させる役割を担う.本年度は,可動性イントロンがいかにして転移標的を選択するのかという問題を検討するために,HEaseのDNA塩基配列認識機構と立体構造に焦点を絞って研究を進めた.超好熱古細菌由来のHEaseであるI-ApeIIをモデルとして解析した. 野生型I-ApeIIは5'-CTGACTCTC^TTAA^*GGTAGCCAA(^*および^はそれぞれtop strand, bottom strandの切断部位を示す)の偽回文配列をもつ22bpの二本鎖DNAを特異的に認識する.I-ApeII遺伝子にerror-prone PCRによりランダム変異を導入後,DNAシャッフリング法により変異体ライブラリーを多様化した.22bpの認識配列の両端の5bpずつを欠失したDNA配列(12bp)を含む基質RS14を用いて約750変異体からスクリーニングした結果,6個の変異体において二本鎖DNA切断活性をもつことを見い出した.変異体のDNA切断部位は,野生型のそれと同一であった.その中でRS14に対する最大の比活性を示した変異体PL02-07Dは,Val 1からGly 101までの領域にアミノ酸残基置換はなかったものの,Phe 102以降の66アミノ酸残基(すなわちC末端部分の約1/3)が欠失していた.PL02-07Dのアミノ酸配列から立体構造モデルを構築したところ,LAGLIDADG型HEaseに共通するコア構造αββαββαを含むと予測された.PL02-07Dにおける欠失部位は,DNA結合面であるβサドルの裏打ち構造となる3本のαヘリックスの領域に相当する.上記の変異によりβサドルの辺縁部の構造柔軟性が高まり,標的DNA配列の認識機能に差異が生じたものと考えられた.
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Research Products
(1 results)