2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16013227
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原島 俊 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70116086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 嘉信 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90161182)
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Keywords | 酵母 / ゲノム / プロテインホスファターゼ / 遺伝子破壊 / 機能重複 / トランスクリプトーム |
Research Abstract |
出芽酵母が持つ32種のプロテインホスファターゼ(PPase)の機能を明らかにするため、PPaseとプロテインキナーゼ(PKase)二重破壊株の体系的な表現型解析からPPaseと遺伝的相互作用するPKaseを同定し、着目するPPaseと基質を共有するPKaseの側面からPPaseの機能を明らかにする新しいアプローチを行った。PPase破壊株では、PPaseの基質タンパクの非リン酸化型が減少し、リン酸化型が過剰になっていると予想される。もしこの状況が着目するPPaseの破壊株が示す表現型を引き起こしているなら、基質タンパクをリン酸化するPKaseを破壊することによって、PPase破壊株が示す表現型が抑圧されるであろう。そこで、表現型を示すPPaseの破壊株に、破壊しても致死でない全てのPKase(110種)の破壊変異を、全ての組合わせでを導入し、その破壊がPPase破壊株が示す表現型を抑圧するPKaseを同定する。当研究室では、既に、SIW14遺伝子破壊株のカフェイン感受性(Caf^s)を見出している。そこで、本研究では、この表現型とPPaseの中でCaf^sを示すPpz1の知見を手がかりに、Siw14の機能解明を目的とした。まず、Δppz1Δsiw14のカフェイン感受性度を調べたところ、各単独破壊よりも上昇が見られた。Ppz1と異なる経路で働くSLT2(MAPK)も、破壊するとCaf^sが、この表現型は、多コピーSIW14で抑圧されることが知られている。そこで、Δsiw14Δslt2のカフェイン感受性度を調べたが、加算的な効果は見られなかった。Slt2の下流に存在し、直接活性を制御されている因子として、Rlm1、Mck1、Swi4とSwi6が知られており、それぞれ単一破壊株はCaf^Sを示す。そこで、Δsiw14Δrlm1、Δsiw14Δmck1、Δsiw14Δswi4、Δsiw14Δswi6でカフェイン感受性度を調べたところ、Δsiw14Δswi4、Δsiw14Δswi6において、加算的な効果が見られなかった。次にΔsiw14、Δppz1では、基質の過剰なリン酸化が原因でCaf^sになると考え、それぞれの基質をリン酸化するプロテインキナーゼ(PKase)も破壊すれば、Caf^Sは抑圧されるのではと考えた。101種の非必須PKase遺伝子と、SIW14およびPPZ1との二重破壊株を作成したところ、Δsiw14Δnpr1、Δppz1Δsat4、Δppz1Δhal5でCaf^sの抑圧が観察された。以上の結果より、Siw14は、Slt2と同一系路上で下流のSwi4、Swi6に作用していること、Siw14とNpr1は拮抗的な作用をしている事、また、Ppz1とSat4、Ha15は、基質を共有している可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)