2004 Fiscal Year Annual Research Report
シアノバクテリアの高温適応を制御する遺伝子の網羅的解析
Project/Area Number |
16013237
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
西山 佳孝 愛媛大学, 無細胞生命科学工学研究センター, 助教授 (30281588)
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Keywords | シアノバクテリア / 光合成 / 高温適応 / プロテオミクス / DNAマイクロアレイ / 情報伝達系 |
Research Abstract |
本研究では、シアノバクテリアSynechocystis sp.PCC 6803を用いて光化学系IIの高温耐性を制御する因子を同定し、高温適応に関与する遺伝子を明らかにすることを目的とした。制御因子はチラコイド膜ルーメンに存在することが以前の研究により明らかになっているため、この画分に局在するタンパク質をプロテオミクスで解析し、候補となるタンパク質を絞った。 プロテオーム解析の結果、高温により量的に変化したタンパク質が221個確認され、このうちMALDI-TOF質量分析機により86個のタンパク質を同定できた。その中で、著しく存在量の増えたタンパク質は、機能未知の3つのタンパク質、NADH dehydrogenaseなどであった。本研究では、まず機能未知の3つのタンパク質(Sll0072,Slr1852,Slr1106)に着目し、遺伝子破壊法と生化学的解析により光化学系IIの高温耐性との関連を調べた。 Sll0072とSlr1106については遺伝子破壊株を作製することに成功した。このうちslr1106遺伝子破壊株では、光化学系IIの熱安定性が少し減少したため、Slr1106が高温耐性と関係していることが示唆された。これら3つのタンパク質を大腸菌で発現させた結果、Sll0072およびSlr1106は不溶化したが、Slr1852は可溶性画分に得られ、精製することができた。精製したSlr1852タンパク質をチラコイド膜と再構成させた結果、光化学系IIの熱安定性は変化しなかったことから、Slr1852は光化学系IIの高温耐性と関係がないことがわかった。 今後、Sll0072とSlr1106についてさらに詳細に解析し、光化学系IIの高温耐性との関連を明らかにしていく予定である。また、今回のプロテオーム解析で十分解析ができなかった低分子量タンパク質についても、再度プロテオーム解析を行う。さらに、現在進行中のマイクロアレイ解析とデータを照合して、高温適応に関与する遺伝子とそのネットワークを明らかにしていく予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Systematic analysis of the relation of electron transport and ATP synthesis to the photodamage and repair of photosystem II in Synechocystis2005
Author(s)
Allakhverdiev, S.I., Nishiyama, Y., Takahashi, S., Miyairi, S., Suzuki, I., Murata, N.
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Journal Title
Plant Physiol. 137
Pages: 263-273
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[Journal Article] The two-step mechanism of photodamage to photosystem II : step one occurs at the oxygen-evolving complex and step two occurs at the photochemical reaction]2005
Author(s)
Ohnishi, N., Allakhverdiev, S.I., Takahashi, S., Higashi, S., Watanabe, M., Nishiyama, Y., Murata, N.
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Journal Title
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