2004 Fiscal Year Annual Research Report
海馬スライス内神経回路におけるセル・アセンブリの動的形成
Project/Area Number |
16015218
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
片山 統裕 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (20282030)
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Keywords | ニューロン / ニューラルネットワーク / シナプス可塑性 / 自己組織化 / 学習 / 記憶 |
Research Abstract |
【はじめに】脳の並列分散情報処理メカニズムの有力な候補として,ヘッブによるセル・アセンブリ仮説がある.この仮説では,情報処理課題に応じて細胞集団が動的に形成されることによって,情報の符号化・処理を行っているとされる.本研究では,海馬スライス標本のCA3領域において多点局所刺激を行い,多数のニューロン活動を記録・解析した.これにより,複数のニューロン集団を同時に活性化することによって,異なった集団に属するニューロン間の機能的結合を入力パターンによって制御しうる可能性について検討した. 【実験方法】生後3週齢のHartleyモルモットの脳から摘出した急性海馬スライス標本を37□に維持したインターフェースチャンバーにて保持し,CA3b領域の錐体細胞層に2本のテトロード電極を約400μm間隔で刺入し,多細胞活動記録を行った.それぞれのテトロード先端の近傍に微小ガラス管を1本ずつ配置し,イオン泳動法によりグルタミン酸を局所投与に用いた.テスト刺激として,5秒間隔で2つのガラス電極から交互にグルタミン酸を1秒ずつ局所投与した.また条件刺激としては,10秒間隔で2箇所に同時にグルタミン酸を投与した. 【結果と考察】グルタミン酸の局所投与に伴って生じる多数のニューロン活動をスパイク波形パターンに基づいてニューロンごとに弁別し,Peri-stimulus time histogram (PSTH)を作成した.コントロール条件ではほとんどのニューロンは近位の刺激にしか応じなかったが,条件刺激後に遠位の刺激に対しても応答するようになるものが現れた.また,異なる電極で観測されたニューロンにおいても、条件刺激後に著しく神経性相関が増加するニューロンペアが観察された.相関ヒストグラムのピークのラグ時間,分布の幅から,単シナプス性の結合を反映しているものと考えられる.この結果は,多点刺激によって,複数のニューロン集団の間の機能的結合が強化されたことを示唆する.
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Research Products
(6 results)