2004 Fiscal Year Annual Research Report
変異型SOD1の重合体形成についての細胞生物学的解析
Project/Area Number |
16015219
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
荒若 繁樹 国立大学法人山形大学, 医学部, 助手 (00344789)
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Keywords | 神経科学 / 脳神経疾患 / 蛋白質 |
Research Abstract |
一部の家族性ALS(FALS)においてSOD1が原因遺伝子として同定され、神経病理学的にSOD1遺伝子変異をもつ患者脊髄の運動神経細胞内にSOD1免疫反応陽性の封入体を認めることが知られている。細胞内封入体には、不溶化したSOD1が蓄積していると考えられているが、本来可溶性タンパク質であるSOD1が、どのように不溶性変化し細胞内に蓄積するのか、どのように不溶性変化したSOD1が細胞死に影響するのか不明である。本研究では、変異型SOD1の可溶性変化について、H46R変異型SOD1のトランスジェニックマウスと培養細胞系を用いて検討した。トランスジェニックマウスの脊髄を、順次異なる界面活性剤と変性剤を含む緩衝液で分画し、ウエスタンブロットで観察したところ、変異型SOD1はTriton-X100不溶性-SDS可溶性、蟻酸可溶性画分に単量体並びに高分子分子種として分離された。病期毎にみると、SDS可溶性変異型SOD1単量体は発症前より増加し、より高度に不溶化した蟻酸可溶性変異型SOD1分子種は発症後より増加していた。H46R変異型SOD1を過剰発現させたCOS-7細胞では、プロテアソーム阻害剤の濃度依存性にマウスと類似した変異型SOD1の可溶性変化を認めた。Hsp70を変異型SOD1と共発現させると、SDS可溶性画分より以降の画分に回収される不溶性SOD1の発現量が低下した。一方、野生型SOD1が回収されるPBS可溶性、Triton-X100可溶性画分中のSOD1量には変化を認めなかった。SDS可溶性画分は、中間的なミスフォールド分子種を含有し、プロテアソーム分解系活性と分子シャペロン活性によって影響を受けることが示された。また、SDS可溶性変異型SOD1は、発症前より有意に増加することより、発症初期の段階における神経細胞毒性に関与する可能性が考えられた。
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