2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16015307
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
村田 哲 近畿大学, 医学部, 助教授 (60246890)
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Keywords | ミラーニューロン / 身体感覚 / 自己 / 感覚フィードバック / 遠心性コピー / 運動制御 / 下頭頂小葉 / 運動前野 |
Research Abstract |
ヒトの下頭頂葉の障害では、自分の動作や他者の動作を見ている時に、その動作の主体が自己なのか,他者なのかか区別がつかない症状が知られている。頭頂連合野は運動前野と連関し、視覚や体性感覚のフィードバックと、内因的な運動指令の照合を行っていると考えられるが、上記の症状もそうした自己の運動のモニターシステムの問題と思われる。下頭頂葉のPF野や腹側運動前野の他者の動作に視覚的に反応する,ミラーニューロンは、自己の運動にも視覚的に反応し、運動指令と感覚フィードバックの照合に関わるのではないか。そこで、本研究はサルの頭頂葉リミラーニューロンの記録と、ヒトやサルの手の運動の解析を行つた。まず記録実験で、CCDカメラで撮影された手の映像を目の前にあるモニターで見ながらものをつかむ手操作課題と、サルの目線でみた手の運動の動画や実験者の手の運動の動画の注視課題で反応を調べた。その結果、自分の手の動きに視覚的に反応しているニューロンが、PF野およびAIP野で認められた。これらのニューロンの多くは他者の手の動作にも視覚的に反応した。さらに、運動実行中の視覚フィードバックに遅延をかける課題では、手に対する視覚反応が抑制されることが明らかになった。またヒト、サルにおいて通常の視覚条件の手操作課題と視覚フィードバックに遅延をかけた手操作課題で運動時間を比較した。その結果、遅延をかけると運動時間がのびること、遅延時間をいろいろに変えると運動時間も変化することが明らかになった。未だこの行動実験の結果は、予備的なものでありさらに事例を増やす必要があるが、ニューロン活動の記録と併せて考えると、頭頂葉におけるミラーニューロンは、自己の動作を視覚的にモニターし、運動指令や体性感覚と照合することで自己の運動を認識する働きをもつことが示唆された。今後同様の実験を腹側運動前野のミラーニューロンに対して行うことが重要である。
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Research Products
(2 results)