2004 Fiscal Year Annual Research Report
ダイナミッククランプを用いた視床-大脳皮質連関の機能解析
Project/Area Number |
16015312
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
井本 敬二 生理学研究所, 生体情報研究系, 教授 (00176512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 剛 生理学研究所, 生体情報研究系, 助手 (40370134)
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Keywords | 脳・神経 / ネットワーク / 生理学 / シグナル伝達 / パッチクランプ / ダイナミッククランプ / 視床 / 大脳皮質 |
Research Abstract |
視床は末梢からの情報を大脳皮質へと送る中継地点であるが、視床と大脳皮質がどのように相互作用しているかに関しては、不明な点が多い。この相互作用の解明には、まず視床・大脳皮質それぞれの神経回路構造を明らかにし、次にその二つの神経回路がどのように連結しているかを明らかにし、最後にその構造上でどのような情報処理が行われるかを調べるという手順が必要である。我々はこの手順に沿い、以下のことについて明らかにした。 1、視床の神経回路構造を明らかにした。視床スライス標本上にある複数のリレー細胞からパッチクランプ記録を行い、上行性興奮性繊維と網様核由来抑制性繊維がどのようにリレー細胞と繋がっているのか調べた。その結果、単一抑制性繊維は複数のリレー細胞と結合しているのに対し、単一興奮性繊維はそのような発散的結合は観察されなかった。前者の結合様式は、視床が同期的活動を形成するのに寄与していた。一方後者の結合様式は感覚情報が正確に大脳皮質へと転送されるのに寄与していると想定された。 2、次に、視床から大脳皮質への神経回路構造を明らかにした。視床と大脳皮質が連結したスライス標本から、複数の大脳皮質神経細胞からパッチクランプ記録を行い、単一の視床リレー細胞を刺激することによってその結合様式を調べた。その結果、単一視床リレー細胞から大脳皮質4層に存在する興奮性細胞と抑制性介在神経細胞への結合様式に大きな違いが見られることを明らかにした。 3、最後に視床神経回路のダイナミクスを調べた。一般に視床リレー細胞と視床網様核細胞は離れた位置に存在するため、その2種類の細胞群の相互作用を調べるのは難しい。しかし複数のリレー細胞・網様体細胞からのパッチクランプ法にダイナミッククランプ法を併用することにより、実在する視床神経回路網に忠実な視床神経回路を再現することに成功した。
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Research Products
(3 results)