2004 Fiscal Year Annual Research Report
神経上皮細胞移値による線条体シナプス再構築に関する形態学的および電気生理学的解析
Project/Area Number |
16015314
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
籾山 俊彦 生理学研究所, 大脳皮質機能研究系, 助教授 (20230055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 耕一 慶応義塾大学, 医学部, 講師 (00176687)
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Keywords | 線条体 / 神経上皮型 / 移植 / スライス / ドーパミン / シナプス / ニューロン / グリア |
Research Abstract |
大脳基底核関連疾患の治療法の一つとして神経幹細胞移植法が期待されているが、移植による神経回路の再建に関する基礎的知見はこれまで少なかった。本研究では、Enhanced GFP遺伝子導入トランスジェニックラット胎児から摘出した中脳胞部由来神経板組織を成熟ラットの線条体内に移植して、形態学的および電気生理学的解析を行なった。ドナー由来の細胞は、GFP陽性細胞として同定できる。 1)移植部位内に、神経細胞のマーカーであるHuとGFP共陽性細胞が認められた。GFP陽性細胞で、ドーパミン性細胞のマーカーであるtyrosine hydroxylase陽性細胞、GABA性細胞のマーカーであるGAD陽性細胞、astrocyteのマーカーであるGFAP陽性細胞、も認められた。また、ドナー由来および宿主由来のグルタミン酸トランスポーター陽性神経終末が、ドナー由来細胞を取り囲んでいることが観察された。移植4週間後には、ドナー細胞には線条体ニューロンのマーカー陽性の細胞は存在しなかったが、移植26週間後には線条体投射細胞のマーカー陽性細胞が出現した。2)脳スライスを用いたホールセル記録により、GFP陽性細胞は電気生理学的にも複数種の神経細胞に分化していることが示唆された。また、宿主側に電気刺激を与えることにより、GFP陽性細胞からGABA性およびグルタミン酸性のシナプス電流が誘発された。これらの結果から、神経上皮型幹細胞は正常脳組織に生着し、機能的神経細胞に分化して周囲とのシナプス結合を形成すること、さらに、遺伝的プログラムによって分化するのみならず、時間経過とともに、環境に適応した分化をも行なうことが示唆される。
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Research Products
(4 results)