2004 Fiscal Year Annual Research Report
軌道アトラクタによる人間の動的パターン処理のモデル化
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16016207
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
森田 昌彦 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 助教授 (00222349)
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Keywords | 軌道アトラクタ / 神経回路 / 動的連想 / 選択的不感化 / 視覚特徴統合 |
Research Abstract |
本研究は,人間の動的なパターン情報処理の基本的な過程を,軌道アトラクタネットワークによってモデル化すると共に,柔軟で人間的な動的パターン認識やロボットの運動制御など応用可能な情報処理モデルを構築することを目的としている.しかし,従来のモデルには軌道アトラクタ同士が交差してはならないという強い制約があり,上記目的の達成の妨げとなっていた.本年度は,この問題を解決するための「選択不感化」という原理について研究を進め,以下の3つの大きな成果を得た. 1.従来の代表的なニューラルネットである多層パーセプトロンの重大な限界を明らかにすると共に,選択的不感化原理によりその限界を克服できることを示した. 2.軌道アトラクタモデルに選択的不感化法を適用することによって,文脈依存的な記憶課題の学習と実行が可能となるだけでなく,その課題を実行中のサルの下側頭葉で観察された特徴的なニューロン活動が再現されることを示した. 3.第3に,選択的不感化原理に基づく予想に従って,人間の視覚情報処理における「2属性仮説」を提唱し,視覚心理実験によってそれを支持する結果を得た. これらの結果は,軌道アトラクタによる情報処理の可能性を大きく拡げるものであると同時に,その原理が脳の情報処理においても用いられていることを示唆しており,人間の情報処理の理解とその応用にとって大きな意義をもつ.
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Research Products
(3 results)