Research Abstract |
秘密分散法(SSS)は,秘密情報Sをn個の分散情報に分散符号化し,有資格集合に属する分散情報が全て集まるとSが復号できるが,禁止集合に属する分散情報が集まってもSに関して全く情報が漏れない符号化方式である. 分散情報の任意の部分集合が,有資格集合または禁止集合のどちらかである場合,そのSSSのアクセス構造は完全であるという.また,有資格集合でも禁止集合でもない中間的な特性を持つ分散情報の集合が存在するとき,そのSSSのアクセス構造はランプ型であるという.有資格集合と禁止集合が,分散情報の部分集合のサイズにより決まるとき,アクセス構造はしきい値型であるという.特に,分散情報の部分集合のサイズがk以上で有資格集合,サイズがk-L以下で禁止集合,サイズがk-t(1≦t≦L)で秘密情報Sに対して(t/L)H(S)の曖昧さが残るランプ型SSSを,(k,L,n)しきい値ランプ型SSSといい,L=1の場合を(k, n)しきい値SSSという.また,しきい値型に限らないアクセス構造を,一般アクセス構造という. 通常のSSSでは,秘密情報は数値情報であるが,将来,量子計算機や量子通信が実現し,量子状態を長期に記憶できるようになると,量子状態そのものを秘密情報として保管したい場合がある.そのような量子状態を符号化するSSSを,量子秘密分散法という. 本年度は,本研究を通じて得られた「一般アクセス構造に対する秘密分散法を,しきい値型SSSと整数計画法を用いて効率よく構成する一般的手法」と,「量子秘密分散法およびランプ型量子秘密分散法に対する符号化定理」に関する研究成果を国際シンポジウムで発表した.また,ランプ型秘密分散法において,情報保護特性の観点から望ましい「強いランプ型秘密分散法」を,一般アクセス構造に対して実現するための構成方法を明らかにした.
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