Research Abstract |
人間と機械が対話を行うことを考えるとき,機械が人間同士の会話と同様にあいづちや返答(話者交替)などの応答を返すことができれば,より円滑な対話を行うことが期待できる. 本研究では,特に雑談のような対話に着目し,自然な雑談対話をする上で最も重要であるタイミング生成,すなわち,あいづちと話者交替のタイミングの判定を,人間同士の対話の特徴から学習した決定木を用いて行う方法を提案する.この決定木は,ユーザの発話長,発話終端単語の品詞,特に終端単語が助詞であった場合に「ね」,「か」であるかどうか,発話終端からの時間長,発話中の最後の自立語の品詞,その自立語の時間長,その自立語から発話終端までの時間長,発話句音声末100msのピッチの変動,発話句音声末100msのパワーの変動,を素性として用いる.このシステムによって生成されたあいづち,話者交替タイミングを人間のそれらと比較した結果,学習に用いた人間とは良い一致を示し,ランダムや,平均的な応答タイミングを用いる場合と比較しても有意に自然であるという結果を得た. さらに,このタイミング生成器を用いて実際に雑談対話システムを構築した.このシステムは,リアルタイム音声認識と,タイミング生成器の出力から,発話内容のみでなくタイミングも考慮して応答するものである.人間による主観評価を行った結果,応答内容(本研究では対象としていない)に問題が多いものの,システムに対しては親しみやすいという印象を持たれた.
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