2004 Fiscal Year Annual Research Report
オンラインADRを用いた司法アクセス格差是正の実証的研究
Project/Area Number |
16016281
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
町村 泰貴 南山大学, 大学院・法務研究科, 教授 (60199726)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 匡子 愛知学泉大学, コミュニティ政策学部, 助教授 (10222291)
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Keywords | ADR / ODR / 裁判外紛争処理手続 / インターネット / ドメスティックバイオレンス / 民事紛争 / 相談員研修 / NPO |
Research Abstract |
平成16年度においては、オンラインADRの構築に必要な設備および人的態勢についてとりまとめをするとともに、非オンライン紛争を対象とするオンライン技術の有用性を検証するために、以下の実証実験を行った。 ・ドメスティックバイオレンスの被害者に対する法情報提供とオンライン相談インターネットのウェブサイトにおいて、一般的な法律や相談場所などの情報を多言語で提供するとともに、オンライン上の自動応答システムにより、相談を求める者の個別的なニーズにあった情報提供を行った。そして同じくインターネット上のサイトに相談窓口を設け、オンライン相談を実施した。これにはDVのリアルな相談業務に携わっているNPOの協力を得て、相談員を5名用意し、3ヶ月間に約40通の相談メールに回答をした。 相談者は日本全国に分布し、しかも夜間早朝といった通常の相談機関では対応できない時間帯の相談が多数を占めた。相談のためのツールは、通常のパソコンから利用するインターネットが多数を占めたが、合わせて設置した携帯電話によるメール相談を利用した相談者も相当数おり、この情報提供にアクセスするルートが多様なものであることの必要性が際だっている。 相談はほとんどが一度の回答で修了したが、中にはその後の状況を報告して下さる相談者や何度かメールを往復させる相談者がおり、相談担当者の側のメールスキルも高度なものが要求された。 なお、相談員のスキルアップのための研修を実施する必要があり、そのコストの調達については今後の課題を残している。
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