2005 Fiscal Year Annual Research Report
無脊椎動物由来自然免疫関連タンパク質の分子レベルでの異物認識と応答機構の解析
Project/Area Number |
16017202
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
相沢 智康 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40333596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 敬一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10136492)
出村 誠 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70188704)
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Keywords | NMR / 立体構造 / ペプチド / タンパク質 |
Research Abstract |
本年度は得られた遺伝子組換え蛋白質試料を用いて、精密な立体構造を決定し、活性発現と立体構造の関係を解明するため、相互作用解析等を進めた。変異体を用いた解析の結果、ASABFについては、現在まで知られるCSαβモチーフ抗菌ペプチドには保存されていないC末端のフレキシブル領域が存在し、抗菌活性の維持に重要な働きを有することを明らかにした。CSαβモチーフを有する抗菌ペプチドは、昆虫をはじめとする節足動物を中心に、軟体動物、植物まで有することが知られており、ごく最近、真菌からも発見されている。しかし、このいずれにもC末端のフレキシブル領域は存在しておらず、このファミリーの進化を知る上でも、また抗菌活性の発現メカニズムを解明する上でも興味深い。さらに、ミセルとの相互作用解析の結果などをあわせて考察すると、このフレキシブル領域は、膜との初期のインタラクションに重要な役割を果たしていると考えられる。また、NMR法を用いた緩和測定による分子の内部の残基の運動性に関する解析の結果から、N末端に存在するループ領域が極めて特徴的な運動性を示すことが明らかになった。昆虫由来のCSαβモチーフを有するペプチドでは、この領域の電荷の存在が、膜相互作用時に複合体を形成しポアを形成するために重要であることが示唆されており、興味深い結果といえる。 サイトカインGBPについては、このGBPを持つアワヨトウ幼虫が寄生蜂であるカリヤコマユバチに寄生された際におこる成長抑制作用と免疫系の抑制に、寄生の際に感染するポリドナウイルスによるGBPのC末端の伸張が関係している可能性を分子レベルで明らかにすることに成功し、論文として投稿中である。
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Research Products
(5 results)