2004 Fiscal Year Annual Research Report
KSHV/HHV‐8の潜伏期関連核抗原による宿主シグナル伝達の制御
Project/Area Number |
16017204
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤室 雅弘 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (20360927)
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Keywords | ヘルペス / ウイルス / カポジ肉腫 / エイズ / 潜伏感染 / がん / 移植 / 診断 |
Research Abstract |
KSHVは、潜伏感染後にウイルス蛋白質である潜伏感染関連核抗原(LANA)を発現する。我々は、LANAがリン酸化酵素GSK-3βを核内で拘束し阻害することでβ-カテニンを安定化し、Wntシグナルを活性化していることを明らかにしてきた。LANAはそのN末端側にGSK-3βのリン酸化予想配列(S/TxxxS/T)を7つ持つ。そこで、我々はLANAのGSK-3βによるリン酸化部位の同定と機能的意義の解析を行なった。PEL細胞抽出液よりLANAの免疫沈降を行い、沈降物に32P-ATPを加えリン酸化反応を行なったところLANAは共沈降したGSK-3βによりリン酸化を受けた。次に、GSK-3βによるリン酸化部位を同定するため、GST融合LANAを基質として用い、精製GSK-3βと^<32>P-ATPによりリン酸化反応後、トリプシン消化によりペプチド断片化を行なった。GSK-3βのリン酸化部位を含むLANAのN末端部(1-329)-GST融合蛋白質をグルタチオンビーズに結合させた状態で、精製GSK-3βによるリン酸化(^<32>P-ラベリング)を行った。FactorXaを用いてLANAをGSTより切り出し、トリプシンによるペプチド断片化を行なった。ペプチド断片を逆相カラムにより分画し、各ビークについて放射能活性を測定し、^<32>Pでラベルされたペプチドのアミノ酸配列分析を行なったところLANA219番目SerがGSK-3βのリン酸部位であることが明らかとなった。次に、GSK-3βによるLANAリン酸化の機能解析の結果、219番Serのリン酸化はLANA自身の分解に必須であった。現在、Ser219リン酸化体LANAに特異的に結合する細胞性蛋白質が複数検出されたので、MALDI-TOF/MSを用いたペプチドMSフィンガープリント法による同定を行なっている。
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