2004 Fiscal Year Annual Research Report
トランスジェニックラット感染モデルを用いたエイズワクチン・治療法開発
Project/Area Number |
16017205
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
志田 壽利 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (00144395)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
博多 義之 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助手 (30344500)
大橋 貴 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教授 (10282774)
|
Keywords | トランスジェニックラット / HIV / 感染モデル / エイズワクチン / 治療法 |
Research Abstract |
エイズウイルス(HIV)がラットで増殖できない原因の分子機構を追求するために、ウイルスRNAの核外輸送過程を検討した.まず、ウイルス輸送因子Revがラット細胞で機能するかどうかを2種類のレポーターを用いて調べた.1つはHIVゲノムのenv領域にCAT遺伝子を挿入したもの(pDM128)、2つ目はHIVのほぼ全長を持つものである.PDM128を用いてCATの生産量で測定するとRevは十分効率よく働くが、後者のレポーターからはGag/Envがヒト細胞の1/100程度しか生産されなかった.ウイルスRNAの核から細胞質への輸送を半定量PCR,定量PCRで測定したところ、両細胞間で差がなかった.また、Gagタンパク質は両細胞中で安定であった.この結果はウイルスRNAがヒト細胞中で効率よく翻訳されるとこを示唆している. 次に細胞輸送因子であるCRM1が原因であるかどうか調べた.ラット細胞にヒトCRM1を導入すると、Gagタンパク質が約10倍効率よく生産された.ウイルスRNAの輸送効率は変わらなかった.これらの結果は、ヒトCRM1は核から細胞質へのRNA輸送を司るだけではなく効率の良い翻訳にも関与していることを示唆している.他方ラットCRM1は効率的にウイルスRNAを翻訳できないことを示唆している. 次に、ヒトCRM1を発現するトランスジェニック(Tg)ラット細胞を作製した。ヒトcrm1ゲノムを含むBACをクローニングし、ラット受精卵にマイクロインジェクションした.ヒトCRM1を発現するTgラットを1系統得た.トランスジーンは胸腺で高発現しており、脾臓ではあまり発現していなかった.これは内在性のラットCRM1と同様の発現パターンである.次いでTgラット由来のT細胞にヒト白血病ウイルス(HTLV-1)を感染させたところ、ヒトT細胞と同等の増殖を示した.
|
Research Products
(2 results)