2005 Fiscal Year Annual Research Report
リピドラフトを介した細胞内寄生菌のマクロファージ内侵入および輸送機構の解析
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16017207
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
度会 雅久 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (40312441)
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Keywords | ブルセラ症 / 栄養膜巨細胞 / 胎盤 / 細胞内寄生菌 / 流産 / サイトカイン |
Research Abstract |
ブルセラ属菌は人獣共通感染症の一つであるブルセラ症の原因菌で、波状熱あるいは流産などの症状を惹起する。本菌は細胞内寄生菌であり、ファゴソームとリソソームの融合を阻止することによってマクロファージ内で増殖するものと考えられている。このメカニズムは未だ不明な点が多いが、本菌の細胞内増殖能とブルセラ症の発症機構には密接な関係があると考えられている。我々のこれまでの研究により、ファゴソーム膜上の分子の選別が菌の細胞内増殖に重要であることが示されている。ブルセラ菌を含むファゴソームにはリピドラフトの構成分子が集積し、多くの膜貫通型蛋白質が排除される。我々の研究と同時期に細菌以外のウイルス、原虫の感染にもリピドラフトの関与が示唆されている。そこで本研究ではリピドラフトが微生物感染におけるゲートウェイとしての機能を持つという仮説を立て、これを実験的に立証し、そこから得られた成果を基盤にした新たな感染防御法の構築を模索する。具体的には、ブルセラ菌の産生する病原因子が宿主細胞に及ぼす作用を解析し、菌の細胞内増殖のメカニズムの解明を試みた。ブルセラ症の最大の特徴は流産を引き起こすことであり、そのメカニズムを解明するためにマウスを用いた流産モデルの作成を行った。菌感染により母体のTh1/Th2サイトカインのバランスが崩壊し、妊娠の維持が阻害されることにより流産するものと考えられた。また、栄養膜巨細胞が菌の胎盤内増殖において重要な役割を果たしており、菌の細胞内増殖が流産に必須であることが示唆された。栄養膜巨細胞は胎盤形成において重要な役割を果たしていると考えられているが、その詳細な機能は不明な点が多い。菌が栄養膜巨細胞に感染し、その機能を阻害することによってTh1/Th2サイトカインバランスの崩壊および胎盤形成阻害が引き起こされ、流産する可能性も考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Interferon-γ promotes abortion due to Brucella infection in pregnant mice.2005
Author(s)
Kim, S., Lee, D.S., Watanabe, K., Furuoka, H., Suzuki, H., Watarai, M.
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Journal Title
BMC Microbiol. 5・1
Pages: 22