2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16017213
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
佐々木 雄彦 秋田大学, 医学部, 教授 (50333365)
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Keywords | イノシトールリン脂質 / 細胞走化性 / 好中球 / 炎症 |
Research Abstract |
ホスファチジルイノシトールのイノシトール環3,4,5位水酸基に可逆的なリン酸化を受けた8種類のイノシトールリン脂質は,シグナル分子として個々に固有の機能を持ち,多様な細胞応答を制御する。我々は,種々の細胞外シグナル分子によって活性化されてPI(3,4,5)P3 (PIP3)を産生するPI3Kや,PIP3を脱リン酸化して分解するPTEN,SHIP1,SHIP2の遺伝子欠損マウスを作製・解析した。その結果,これらの酵素が種々の細胞応答制御に重要であり,その欠損はリンパ球、好中球、マクロファージなどの異常細胞応答を導くことを見出した。特に、遊走制御にはイノシトールリン脂質が重要な役割を果すことを示唆する知見を得ている。初代培養細胞レベル、あるいは個体レベルでのPIs動態解析を可能とし、種々の遺伝子欠損により誘発される免疫疾患とPIs代謝の関連を解明することを目的として、新規のPIs動態解析ツールの作製とその活用による細胞遊走制御機構の解析を本研究では行っている。今年度は新たに、PI(3,4)P2特異的可視化マウスとPI(3)P特異的可視化マウスの樹立を完了した。また、既に作製を完了したPIP3特異的可視化マウスと、PIP3産生酵素欠損マウスおよびPIP3分解酵素欠損マウスの交配によって、細胞遊走の制御においてPIP3代謝が極めて重要であることを見出した。そして、遊走細胞の先導端へのPIP3の局在化を規定する酵素群を同定した。一方、PI(4,5)P2の後端膜における局在はROCKの活性に依存性であることを見出したが、この局在を規定するイノシトールリン脂質代謝酵素の同定には至っていない。また、当初の研究計画に記した、PIPKIαによるマスト細胞活性化制御機構を解明した。
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