2004 Fiscal Year Annual Research Report
バンコマイシン耐性腸球菌のバンコマイシン耐性プラスミドの伝達性と病原性の研究
Project/Area Number |
16017216
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
池 康嘉 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60125820)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷本 弘一 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (40188389)
藤本 修平 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (90241869)
富田 治芳 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (70282390)
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Keywords | バンコマイシン耐性 / 腸球菌 / E.faecium / プラスミド / 接合伝達 / 塩基配列 / 伝達開始点 / 炭素菌プラスミド |
Research Abstract |
(1)pHTプラスミドの研究 バンコマイシン耐性E.faecium、E.avium VREから分離された3種のpHTプラスミド(α;65.9kbp,β;63.7kbp,γ;66.5kbp)は性フェロモン非依存性高頻度接合伝達性pMG1類似プラスミドである。それぞれVanA型バンコマイシン耐性トランスポゾンTn1546を持つ。このうちpHTβがプロトタイプのプラスミドであり、pHTαとpHTγはそれぞれIS232(2.2kbp)とgroup II intron(2.8kbp)がpHTβに挿入したプラスミドである。pHTβの全塩基配列を決定した、Tn1546(10,851bp)を除く領域は52,890bpであった。この領域には同一方向に転写される58個のORFが存在した。22個のORFは疸ソ菌の病原性発現に必須の夾膜形成プラスミドpXO2(96.2kbp)に存在する機能不明なORFと相同性を示した。 プラスミドの接合伝達開始領域oriTを同定するためにpHTβ上の様々な領域をクローン化したpAM401プラスミドがpHTβによって可動化されるかを調べた。同定したoriTはORF28とORF29の間の192bpの領域であり、ここには3回の繰り返し配列と2つの逆向き繰り返し配列が存在した。予想される伝達開始部位nic siteは一つの逆向き繰り返し配列内の遺伝子読み取りDNA鎖の相補鎖側に存在した。pHTプラスミドのoriT配列はこれまで報告されている他の伝達性プラスミドのoriT配列と高い相同性を示さず、新規のグループに分類されると考えた。oriT領域の下流に存在するORF31は506個のアミノ酸をコードする遺伝子で、遺伝子解析からORF31はpHTプラスミドのrelaxase/nickase遺伝子(tral)であると推測した。この予想されるTral蛋白は報告されている他のrelaxase/nickase蛋白とは高い相同性を示さず、新規のファミリーMOB_<MG>に分類されると考えた。 (2)pMG1の研究 臨床由来の腸球菌から分離されたカナマイシン・ゲンタミシン耐性プラスミドpMG1の全塩基配列を決定した。全長は65029塩基対でORF解析の結果72個のORFが検出された。43kbpの領域に存在する22個のORFが炭疽菌病原性プラスミドpXO2のORFと相同性を持つ事がわかった。また、pMG1のDNA複製に必須な領域を、大腸菌ベクターを用いた腸球菌へのクローニングとin vitro transposon mutagenesisを用いて決定した。その結果ORF10と、ORF8〜ORF9間の領域の2つが必須であることがわかった。
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