2004 Fiscal Year Annual Research Report
HIV感染機構の解明:ケモカイン受容体・リガンド相互作用の構造生物学的研究
Project/Area Number |
16017223
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺沢 宏明 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (10300956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋田 一夫 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (70196476)
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Keywords | 転移交差飽和法 / ケモカイン / ケモカイン受容体 / RANTES / CCR5 / GPCR / HIV / Budded virus |
Research Abstract |
ケモカイン受容体CCR5はG蛋白質共役型受容体ファミリー(GPCR)に属し、HIV感染における主要な共受容体として機能する。ケモカイン受容体-リガンド間相互作用や、CCR5を介したHIV感染機構を原子レベルで解明するためには、活性を保持したCCR5の大量調製と、膜蛋白質-リガンド間相互作用を解析する構造生物学的手法が必要である。通常行われている可溶化によるGPCRの大量精製は、多くの場合GPCRの失活を伴う。昆虫細胞発現系において、萌芽baculovirus(budded virus, BV)上に、GPCRが機能を保持した状態で発現することが報告されている。また、当研究室で開発した転移交差飽和(TCS)法により、リガンドタンパク質上における超巨大分子との相互作用界面の同定が可能となった。そこで、本研究では、BV上に発現したCCR5にTCS法を適用し、RANTES上のCCR5結合界面を同定することを目標とした。 昆虫細胞培養上清からBVを精製し、BV上へのCCR5発現を確認した。RANTESは大腸菌により発現させ、HPLCにより精製後NMR測定に用いた。 RANTESの^1H-^<15>N HSQCスペクトルにおいて、BV添加によるRANTESのシグナル強度減少および、CCR5のリガンド結合阻害剤TAK-779添加によるシグナル強度回復が観測され、BV上に発現したCCR5はNMR測定条件下でリガンド結合活性を保持していると考えた。TCS実験の結果、RANTESのdimerization interface近傍の残基がCCR5との結合に関与することが明らかとなった。RANTESの立体構造はdimer formで決定されているが、この結果はRANTESがmonomerに解離してCCR5と結合することを強く示唆するものである。
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Research Products
(2 results)