2005 Fiscal Year Annual Research Report
標識ポリオウイルス高感度イメージングによる血液脳関門通過機構の解析
Project/Area Number |
16017224
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大岡 静衣 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (80313097)
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Keywords | ポリオウイルス / 血液脳関門 / イメージング |
Research Abstract |
蛍光色素succinimidyl esterによるポリオウイルス(PV)の直接標識に成功した。運動神経初代培養細胞軸索における標識PVの逆行性輸送の共焦点顕微鏡下リアルタイム観察に成功した。この結果は、PVのリアルタイム観察系を確立できたことを示す。 BBB血管内皮細胞のPV透過機構を検討するためのin vitro系の確立に成功した。トランスウェル上にCD155非発現マウス脳血管内皮細胞を培養し、タイトジャンクションを形成させた後、蛍光標識PVまたは蛍光標識transferrin(Tf)を管腔側に添加し、基底膜側から検出される蛍光強度を測定することにより、PVまたはTfの透過性を検討した。その結果、BBBの透過性が高いことが知られているTfと同様に、PVの透過性は圧倒的に高かった。これらの結果から、PVはCD155非依存的にBBBを効率よく透過することを示唆することができた。 PVのBBB透過がエンドソームを介しているのかどうかを明らかにするため、マウス脳血管内皮細胞において、蛍光標識PVと他の蛍光標識マーカー分子との局在を、共焦点顕微鏡によりリアルタイム観察した。PVがTf又はdextranと同一小胞で輸送される様子が観察された。一方、PVはraftのマーカーであるcholera toxin subunit Bとは共局在していなかった。この結果から、PVはCD155非依存的にエンドサイトーシスされてdextran又はTfを含むエンドソームに入るが、raftとは相互作用しないことが示唆された。またマウス脳血管内皮細胞を用いた非標識PVと標識Tfの取り込み競合実験において、PVの存在によりTfの取り込みが低下した。これらの結果から、PVはTfと共通した経路を介してCD155非依存的にエンドサイトーシスされることが示唆された。
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