2005 Fiscal Year Annual Research Report
p38MAPキナーゼ-ASK1系を経由する自然免疫シグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
16017226
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松沢 厚 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (80345256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一條 秀憲 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (00242206)
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Keywords | 自然免疫 / サイトカイン産生 / 活性酵素 / MAP3キナーゼ / シグナル伝達 |
Research Abstract |
本研究の目的は、自然免疫システムでのTLR4特異的なASK1-p38MAPキナーゼ経路の活性化の分子メカニズムと生理的意義の解明である。ASK1欠損マウスを用いて、ASK1はTLR4下流での特異性が高いこと、その特異的活性化には活性酸素とアダプター分子TRAF6が重要であることをこれまで示してきた。実際、各種抗酸化剤によって、TLR4リガンドのLPS(lipopolysaccharide)誘導のASK1およびp38活性化や、TRAF6とASK1との結合は抑制される。今年度は、この活性酸素-TRAF6-ASK1-p38経路の下流での生理作用について検討を行った。その結果、マクロファージ様細胞でのLPS誘導のIL-6などのサイトカイン産生を各種抗酸化剤は有意に抑制した。一方、TLR2リガンドであるPGN(peptidoglycan)誘導のIL-6産生は抗酸化剤で影響されなかった。さらに、野生型およびASK1欠損マウス由来の樹状細胞を用いて同様の実験を行うと、野生型では抗酸化剤によってIL-6産生が抑制されるが、ASK1欠損樹状細胞においては抗酸化剤によるIL-6産生抑制効果が認められない。この結果は、LPSによるASK1活性化が活性酸素依存的であることを強く示唆する。また我々は、TRAF6が活性酸素によるASK1活性化にとって必須であることも見出している。従って、活性酸素産生がTRAF6-ASK1-p38経路特異的なTLR4シグナルの生理作用発現にとって重要であり、LPS下流での活性酸素-TRAF6-ASK1-p38という一連の経路が生体にとって生理的に重要な機能を持つものと考えられる。このように、活性酸素は殺菌物質としても機能するが、それとは別に、感染に対する警告信号のように働き、シグナル伝達因子として感染防御能力を高める機能も持つものと考えられる。
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