2004 Fiscal Year Annual Research Report
HIVゲノムの核内輸送に関与するウイルスおよび宿主因子の解析
Project/Area Number |
16017233
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
増田 貴夫 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (80219336)
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Keywords | HIV-1 / インテグラーゼ / インテグレーション / 核内輸送 / siRNA / レンチウイルスベクター |
Research Abstract |
【研究目的】 HIV-1は非分裂細胞にも効率よく感染を成立し得る。この理由としてHIVでは、ウイルスゲノムを効率良く細胞核内に輸送する能力があるためと考えられている。これまでに我々を含む研究報告により、インテグラーゼ蛋白が核局在能を持つことおよび関連宿主因子の関与が示唆されている。しかしながら、実際のHIV感染におけるウイルスゲノムの核内移行におけるこうした因子の直接的関与に関しては不明である。本研究ではHIV感染系ウイルスゲノムの核内輸送におけるインテグラーゼの機能的関与の明確化と関連宿主因子の同定を目的とする。 【本年度の研究成果】 1)ウイルスゲノム(cDNA)との結合能が著しく低下したインテグラーゼ変異体は細胞に感染後、ウイルスゲノムの逆転写過程には影響しないが、ウイルスゲノムの核内移行過程が阻害されることをみいだした。本結果は、インテグラーゼがウイルスゲノムの核内移行過程に関与する主要ウイルス因子であることを示す。 2)shRNA発現レンチウイルスベクターの作製およびその評価をおこなったところ、従来の合成siRNAもしくは一過性発現ベクターと比べ、siRNA導入効率および抑制効果の持続性においてすぐれていることを示した。 3)GST-インテグラーゼによるpull-down法およびyeast-two hybrid法により、HIV-1インテグラーゼに結合する宿主因子(Rch-1,Transportin,SIP-1)を同定した。 【考察】 本研究結果はインテグラーゼがウイルスゲノムの核内移行過程に関与する主要ウイルス因子であることを強く示唆する。本研究結果は今後のウイルスゲノムの核内移行過程に関与する宿主因子の同定をインテグラーゼと相互作用する宿主因子をスクリーニングするうえでの理論的基盤となるものと考える。shRNA発現レンチウイルスベクターによる各宿主因子のウイルス複製における機能的関与を検討する実験系は確立し得た。
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