2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規リン酸化酵素阻害剤によるスプライシング制御とエイズウイルスの複製阻害
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16017234
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
福原 武志 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (20359673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒柳 秀人 東京医科歯科大学, 大学院・疾患生命科学研究部, 講師 (30323702)
萩原 正敏 東京医科歯科大学, 大学院・疾患生命科学研究部, 教授 (10208423)
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Keywords | HIV / SRPK / SR |
Research Abstract |
SR蛋白質のリン酸化酵素は複数種類が同定されているが、SRPK発現細胞ではSR蛋白質のリン酸化が維持され、ウイルス複製を促進することを見出した。本年度は、ウイルス複製を抑制する目的で、SRPKの特異的阻害剤をスクリーニングしたところ、SRPKについて特異的阻害剤となるシード化合物を同定するに至った。このシード化合物の酵素特異性を検討する目的で、約120種類のキナーゼに対するキナーゼスクリーニングを行った。その結果、このシード化合物がSRPKにきわめて高い特異性を示す事を明らかにした。この阻害剤を用いて、MT4細胞をホストとしてHIVに対する抗ウイルスアッセイを行ったところ、抗ウイルス効果を示した。またSARS、CMVに対しても抗ウイルス効果を示した。このシード化合物については、既にラット単回毒性試験を行い、毒性が無いことが明らかとなった(国際特許出願済)。 ところで、SR蛋白質のリン酸化酵素は、SRPK以外にも存在しており、CLKについて既に我々は特異的阻害剤(TG-003)を見出している。TG-003を用いた抗ウイルスアッセイを行ったが、HIVに対する抗ウイルス効果は認められなかったことから、SRPKの作用が大切であると考えるに至った。そこでSRPKの基質としてどのSR蛋白質がウイルス複製に必要であるか検討した。その結果SRp75の強制発現によってウイルス産生が増大することをはじめて見出しただけでなく、SRPKとSRp75の共発現で、さらなるウイルス産生を誘導する結果を得た。こうした分子メカニズムの解明によって、実際にSRPK特異的阻害剤が抗ウイルス剤として有用であると考えられた(投稿準備中)。そこでシード化合物から複数の周辺化合物を合成し、これらのSRPK阻害活性について、構造活性相関を明らかにしつつある。次年度は、SRPKやSRp75が持つウイルス複製に対する分子メカニズムを明らかにするだけでなく、より特異性や細胞透過性、細胞毒性などを改良した周辺化合物の探索してゆきたい。
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