2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16017247
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長岡 仁 京都大学, 医学研究科, 講師 (20270647)
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Keywords | AID / クラススイッチ組み換え / 体細胞突然変異 / 抗体遺伝子 / 高IgM症候群 / 細胞内局在 |
Research Abstract |
有効な獲得免疫の成立には適切なクラスにスイッチした高親和性の抗体を産生する能力を有した記憶B細胞や長期生存型形質細胞プールの形成が重要である。その分子基盤である抗体遺伝子の改変現象Class switch recombination (CSR)とSomatic hypermutation (SHM)両反応は、共に、胚中心B細胞特異的に発現するシチジン脱アミノ化酵素:Activation Induced Deaminase (AID)によって誘導されるがそのメカニズムは未だ明らかではない。AID発現から両反応に繋がるそれぞれの分子機構の解明は免疫記憶形成過程の理解にとって重要な課題である。 1.我々は、AIDの細胞内局在の解析とそれを規定する機構の解明、ならびにそのCSR SHM活性との関連の探索のため、野生型並びに変異を持つAIDとGFPの融合タンパク質を多数作成し、細胞内局在を決める領域を決定した。その結果AIDはN末端側に弱い核移行シグナル。C末端側に核排出シグナルを持ち、核と細胞質を行き来する事を明らかにした。核外移行はLMBで阻害される事から核排出シグナルにトランスポーターCRM1が結合すると考えられた。核外移行シグナルの欠損変異体はSHM活性を野生型以上に有しているが、CSR活性は低い事がわかった。 2.AIDの変異体にCSR活性は維持されるがSHMのみが失われるものがあるかどうかをランダムにC末端側に変異を導入したAIDを用いて検討した。その結果、N末端よりの部分にSHMに重要な領域がある事を同定した。以前同定したC末側のCSRに重要な領域の存在と合わせ、CSRとSHMには、それぞれ異なる補因子がN末端C末端に結合する事を示唆すると考えた。 3.CSRにおけるUNGの役割が、Uを除去する事によらない事をUNGの不活化型変異体を用いて明らかにした。また、CSR時のDNA鎖切断にはAID発現後にタンパク合成に依存する過程がある事を明らかにした。
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