2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16017248
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
縣 保年 京都大学, 医学研究科, 研究員(科学技術振興)(常勤形態) (60263141)
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Keywords | 遺伝子 / 感染症 / 癌 / 発現制御 / 免疫学 |
Research Abstract |
1)E2Aによる抗体遺伝子の転写誘導とクロマチン構造変化の解析 遺伝子導入効率の高いBOSC23細胞にE2Aを発現させると、内在性の抗体κ鎖遺伝子のV領域で転写が誘導できることがわかった。その際にE2Aが結合する部位をクロマチン免疫沈降法(ChIP)によって調べたところ、V領域ではプロモーターと組換えシグナル配列(RSS)に結合することがわかった。J領域やエンハンサー領域にもE2Aは弱いながら結合するが、定常領域には結合しなかった。さらにE2Aの結合によってヒストンの修飾がどのように変化するか調べたところ、V領域ではプロモーター、RSSともにヒストンH3、H4のアセチル化とH3-K4のメチル化の上昇が認められた。J領域でも弱いながら同様の傾向が見られたが、定常領域ではそのような変化は認められなかった。 2)E2AとAIDの共発現による体細胞突然変異導入の試み 上記の結果をもとにBOSC23細胞にE2AとともにAIDを発現させ、内在性抗体κ鎖遺伝子で体細胞突然変異が導入できるか解析した。まずVDJ組換えの起きていないgermline型のV領域DNAを調べたが、変異は導入されなかった。これは、E2AとAIDを共発現している細胞を精製しているものの、E2Aによる転写誘導が発現細胞の極一部に限られるためではないかと考え、E2Aによって誘導されるV領域の転写産物を解析したが変異は導入されなかった。さらにE2AとAIDに加えてRAG1/2も共発現させ、VDJ組換えが誘導されたV領域DNAと組換え転写産物も解析したがやはり変異は導入されなかった。以上の結果から、E2Aは体細胞突然変異に必須である標的遺伝子の転写と部位特異的なヒストンアセチル化を誘導するものの、それだけでは内在性抗体遺伝子での変異の導入には充分でないことが明らかになった。
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Research Products
(2 results)