2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリコバクタ・ピロリ感染による胃MALTリンパ腫発症における免疫学的機序の解明
Project/Area Number |
16017249
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
千葉 勉 京都大学, 医学研究科, 教授 (30188487)
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Keywords | MALTリンパ腫 / H.pylori / 胸腺摘出 / パイエル板 / T細胞 / B細胞 |
Research Abstract |
1.ヘリコバクタ・ピロリ(HP)感染による胃MALTリンパ腫の発症機序を解明する目的で、胸腺摘出(TX)BALB/CマウスにHPを感染させた。その結果、TX(-)マウスではHP感染によっても胃炎は生じなかったがTX(+)マウスではMALTリンパ腫の発症が見られた。一方IL4KOTX(-)では軽度の胃炎が見られたが、IL4KQTX(+)ではMALTの発症はなかった。さらにIL10KOTX(-)では胃炎は強度であったが、IL10KOTX(+)でもリンパ腫発症は抑制された。またIL12KOでのTX(-)(+)とも、胃炎、MALTの発症はなかった。 2.パイエル板欠損マウスにTXをおこなった後HPを感染させても、胃炎ならびにMALTリンパ腫の発症は認められなかった。 3.上記MALTリンパ腫細胞を浸潤T細胞と共培養したところ、B細胞単独に比してその増殖が促進された。その際HPを添加しても影響はなかった。しかしこの共培養系にCD11c陽性細胞を添加してHPを加えると、増殖反応はT細胞単独よりさらに増加した。さらにこの際の増殖はCagPAI陰性株においても観察された。 4.BALB/CTX(+)マウスにCD25陽性T細胞を移入するとMALTリンパ腫の発症は著明に抑制された。 5.以上より、MALTリンパ腫の発症にはIL4を中心としたTh2反応が必須であり、かつTh1反応も関与していることが判明した。さらにin vitro実験から、B細胞の増殖にはT細胞が必要であること、さらにその際APCを介したHPのヘルプが必要であり、かつそのヘルプにはCagPAIの存在は必要ないことが確認された。以上よりMALTリンパ腫の発症を促進するHP側の因子の重要性が示唆された。
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