2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトヘルペスウイルス6の宿主細胞へのエントリー機構の解明
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16017254
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森 康子 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (50343257)
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Keywords | ヒトヘルペスウイルス6 / 細胞膜融合 / CD46 / gH / gL / gQ1 / gQ2 / gH / gL / gO / 糖タンパク / 細胞向性 / ウイルス粒子 |
Research Abstract |
ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)は、Tリンパ球向性のウイルスであり、ふたつのバリアント(HHV-6A,HHV-6B)に分けられる。HHV-6Bは、小児の突発性発疹の原因ウイルスであるが、HHV-6Aに関してはその病態は不明である。我々は、HHV-6AがHHV-6の宿主レエプター、ヒトCD46を発現するすべての細胞において細胞膜融合を引きこすことを見いだした。また、この現象は、HHV-6Bでは認められなかった。さらに我々はヒトCD46に結合するウイルス側リガンドがHHV-6A gH/gL/gQ複合体であることを見いだした。しかし、HH-6BのgH/gL/gQ複合体はヒトCD46に結合しなかった。また、gQは、スプライスの違いにより大きく分けて二つのタンパクをコードしていることが判明し、我々はgQ1,gQ2と命名した。gQ1,gQ2は、小胞体あるいはゴルジ装置で二量体を形成し、複合型N型糖鎖の修飾を受けた後、ゴルジ装置でgH/gL/gQ1/gQ2の四量体を形成し、成熟したウイルス粒子に取り込まれることが判明した。 一方、我々は、gH/gLのさらなる複合体gH/gL/gOがHHV-6ウイルス粒子上に存在することを見いだした。また、この複合体はgH/gL/gQ1/gQ2とは独立してウイルス粒子に存在し、ヒトCD46には結合しなかった。故にgH/gL/gO複合体は、HHV-6の宿主細胞への侵入過程にgH/gL/gQ1/gQ2とは異なった役割を果たしている可能性が示唆された。これらの複合体は、HHV-6A,HHV-6Bの両バリアントに存在しており、バリアント間の細胞向性の違いに関与している可能性も示唆された。またこのように二種類のgH/gL複合体がウイルス粒子上に存在するというのは他のヘルペスウイルスでは報告がなく、HHV-6は、他のヘルペスウイルスとは異なった侵入方法をとる可能性も示唆された。
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Research Products
(3 results)