2004 Fiscal Year Annual Research Report
腸管病原性大腸菌の感染初期過程における腸上皮バリア破壊メカニズムの解析
Project/Area Number |
16017255
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三宅 眞実 大阪大学, 微生物病研究所, 講師 (10251175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀口 安彦 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (00183939)
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Keywords | 腸管病原性大腸菌 / 下痢 / 腸管上皮 / 細菌感染 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
i)腸管病原性大腸菌(EPEC)がtype III分泌装置を利用して分泌するエフェクターのうち、少なくともMap及びEspFが、EPECによる腸管上皮バリア破壊に、それぞれ部分的に関与することを明らかにした。両エフェクターを共に欠損した重複変異株について調べたところ、単独変異株よりもさらにバリア破壊の程度が低くなり、MapとEspFの協調作用が疑われた。しかし、この重複変異株はまだ有意なバリア破壊能を示し、両エフェクター以外の未知のバリア破壊因子がさらに存在することが示唆された。 ii)上記重複変異株に対する相補実験から、腸上皮バリア破壊にはMapが優位に働いていることが示唆された。MapのN末端側に存在するミトコンドリア局在化配列を欠失させるとMapによるバリア破壊が起こらないことから、Mapが腸上皮バリアを破壊するためには、ミトコンドリアに移行する必要があることが示唆された。 iii) i)の項で述べた未知のバリア破壊因子を同定すべく、エフェクターの網羅的スクリーニング系を構築した。このスクリーニング系はレポーターとしてβ-ラクタマーゼあるいはカルモデュリン依存性アデニレート・シクラーゼを使用し、これらの上流に目的とする因子の遺伝子をクローニングする。既知のエフェクターであるEspF、Tirを利用してこのスクリーニング・ベクターの有用性を検討したところ、レポーターの酵素活性を検出することで、高感度かつ特異的にエフェクター分泌を感知することができた。現在このスクリーニング系を利用して、本研究の目的である、宿主細胞との接触依存性に分泌されるエフェクターのクローニングを進めている。
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