2005 Fiscal Year Annual Research Report
腸管病原性大腸菌の感染初期過程における腸上皮バリア破壊メカニズムの解析
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16017255
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三宅 眞実 大阪大学, 微生物病研究所, 講師 (10251175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀口 安彦 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (00183939)
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Keywords | ミトコンドリア / Map / In Vivo expression technology(IVET) / 腸上皮バリア / tight junction / EPEC下痢症 / 腸管病原性大腸菌 |
Research Abstract |
本研究では、腸管病原性大腸菌(EPEC)が引き起こす腸上皮バリア破壊をEPEC下痢症に繋がる重要な病理変化と捉え、そのメカニズムを解析することで、EPEC下痢発症メカニズム解明を試みた。 バリア破壊に関与するEPEC因子として、菌体表層蛋白intiminと、3型分泌装置により分泌されるエフェクター分子Tirを同定した。両者は菌が宿主細胞に密着する際に重要な働きをする。得られた結果は、菌が宿主細胞と密着する条件下でのみ分泌されるバリア破壊因子があることを示唆していた。[^<35>S]アミノ酸を用いたパルス標識実験で、Tir-intimin結合依存性に分泌される蛋白を見いだし、その分子量(約25kDa)からMapと呼ばれるエフェクターがバリア破壊因子である可能性を疑った。そこでMap欠損株を作製したところ、そのバリア破壊能は大きく低下していた。Mapは宿主細胞質内に分泌されると、ミトコンドリアに集積することが知られている。MapのN末端アミノ酸配列を調べるとミトコンドリア移行シグナルを見いだしたため、ミトコンドリア移行に重要と思われる疎水性アミノ酸1個を電荷を持つアミノ酸に置換した。この変異Mapはミトコンドリア移行性を失っており、同時にバリア破壊活性も消失していた。すなわち、Mapがバリア破壊を引き起こすには、一旦ミトコンドリアに移行することが必要と考えられた。 しかしながら、Mapの分泌量は、EPECが宿主と密着することとは無関係で、上記分子量約25kDaの蛋白はMapではない可能性が考えられた。総合的に考えた結果、宿主依存性にEPECが分泌するバリア破壊因子が他にもあると考え、宿主依存性に分泌されるエフェクターを網羅的に同定する実験系を構築、スクリーニングを実施したところ、1個の陽性クローンが得られた。そのDNA配列はこれまでエフェクターとして報告されていないタンパクのもので、新規エフェクターである可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)