2004 Fiscal Year Annual Research Report
寄生虫由来プロスタグランジンF合成酵素の阻害剤開発とその作用機構の解明
Project/Area Number |
16017260
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井上 豪 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20263204)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲斐 泰 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40029236)
松村 浩由 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30324809)
裏出 良博 (財)大阪バイオサイエンス研究所分子行動生物学部門, 研究部長 (10201360)
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Keywords | シャーガス病 / リーシュマニア症 / アフリカ睡眠病 / プロスタグランジン / 駆虫剤 / フラビン蛋白質 / NADPH複合体 |
Research Abstract |
本研究では、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、アフリカ睡眠病やシャーガス病の病因原虫(Trypanosoma brucei、T.cruzi)などの病原性寄生原虫が持つヒトと薬剤感受性の異なるプロスタグランジン(PG)生合成系の酵素を分子生物学的に同定することを目的とし、なかでも特に、科学研究費交付期間中に、3つの病原虫由来のPGF合成酵素のX線結晶構造解析を行ない、高分解能の三次元構造座標を決定して、寄生原虫のPGF生合成系を標的とした新規医薬品の開発の基礎を築くことを目的とする。 まず初めに、シャーガス病の病原虫T.cruziのPGF2α合成酵素(TcPGFS)は旧黄色酵素遺伝子族に属する酵素で、他のトリパノソーマ由来のPGF合成酵素とはアミノ酸配列の相同性も全く異なり、酵素学的にも全く異なる機構で反応が進行することが予想され、反応機構解明に向けて、T.cruziのPGF2α合成酵素のcDNAクローニングおよび大腸菌を用いた大量発現系の構築を行った。精製酵素を用いて結晶化を行い、大型放射光実験施設SPring-8を用いた2.0Å分解能までのデータ収集に成功した。 続いて、すでに結晶構造解析に成功したT.bruceiのPGF合成酵素(TbPGFS)の阻害剤複合体の結晶構造解析に着手したが、結晶化の沈殿剤であるクエン酸がIC50=0.3Mで酵素を阻害することが判明し、1.4Mの存在下で結晶化しているため、阻害剤複合体の解析には至らなかった。そこで、同じアルドケト還元酵素のファミリーに属し、相同性61%のリーシュマニア症の病原虫Leishmania. majorのPGF合成酵素(LmPGFS)の結晶学的・酵素学的研究に着手した。L.majorのPGF2α合成酵素のcDNAクローニングおよび大腸菌を用いた大量発現系の構築を行い、PEG4000を用いた新たな結晶化条件を確立した。低温下でのデータ収集が可能なようにクライオ条件の検索を行い、大型放射光実験施設において1.8Å分解能までのX線回折強度データの収集および構造解析に成功した。今後、LmPGFSと阻害剤複合体に着手する予定である。
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Research Products
(21 results)