2005 Fiscal Year Annual Research Report
レプリコンを用いたC型肝炎ウイルス・宿主間相互作用の分子機序に関する研究
Project/Area Number |
16017262
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
堀田 博 神戸大学, 大学院医学系研究科, 教授 (40116249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長野 基子 神戸大学, 大学院医学系研究科, 助手 (90304089)
定 清直 神戸大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (10273765)
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Keywords | C型肝炎ウイルス / HCVレプリコン / NS3 / セリンプロテアーゼ / p53癌抑制蛋白 / NS5A / Syk / チロシンキナーゼ |
Research Abstract |
1.NS3とp53の相互作用の解析:臨床分離株から得られた種々のアミノ酸配列を有するNS3を単独で培養細胞に発現させた場合、その細胞内局在は3通りパターン(斑点状、びまん性および混合型)に分けられた。そして、斑点状局在を示すNS3は、びまん性のものに比べて、p53とより効率よく会合し、p53機能をより強く阻害した。これらのNS3の性状は1〜数カ所のアミノ酸点変異により変化した。なかでも、NS3の106位のLeuをAlaに置換した場合にp53との会合が最も顕著に抑制された。さらに、NS3とp53の会合はHCVレプリコン(サブゲノムおよび全長ゲノム)においても見られ、p53機能がHCVレプリコン複製細胞で減弱していた。 2.NS5AとSykの相互作用の解析:個々のHCV蛋白とSykを培養細胞に共発現させた場合、NS5Aのみが効率よくSykと会合し、その会合にはNS5AのN末端180残基とSykのSH2ドメインが必要であった。NS5AとSykの会合により、Sykのチロシンキナーゼ活性が阻害され、さらにSykの下流に位置するPLC-γ1の活性化も阻害された。Sykキナーゼ活性の阻害には、会合に必要なNS5AのN末端180残基のみならず、同時にISDRやPKR結合ドメインを含むキナーゼ活性制御領域が必要であった。また、HCVレプリコン(サブゲノムおよび全長ゲノム)複製細胞においても、NS5AとSykが会合することを証明した。 以上の結果より、NS3の細胞内局在やp53との相互作用、及びNS5AとSykの相互作用の程度はHCVの臨床分離株間で異なっており、発癌作用を含むウイルス病原性も異なる可能性が示唆された。
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Research Products
(7 results)