2004 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内寄生性細菌による宿主免疫応答活性化の分子機構の解析
Project/Area Number |
16017274
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
浅野 喜博 愛媛大学, 医学部, 教授 (70114353)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 哲 愛媛大学, 医学部, 助手 (90363233)
加納 誠 愛媛大学, 医学部, 講師 (10116923)
丸山 砂穂 愛媛大学, 医学部, 教務職員 (10301326)
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Keywords | 微生物 / 自然免疫 / アレルギー・ぜんそく / サイトカイン / 免疫学 |
Research Abstract |
細胞内寄生性の細菌・ウイルスが感染すると宿主はこれを排除するために感染抵抗性を示す免疫細胞群を誘導し、これは同時にアレルギーに関与する細胞群の誘導を抑制する。したがって、宿主の本来持っているこの機能・機序を明らかにすることが、感染症やアレルギーに対する治療法を考えるうえで極めて重要であると考える。病原体感染における宿主免疫応答の解析は、病原体ゲノムからの解析と宿主ゲノムからの解析とを会わせて遂行する必要がある。我々は、主に細菌ゲノムからの解析を重点的に行い、以下の知見を得た。(1)細胞内寄生性細菌(主にリステリア菌)の感染初期に作動する病原性遺伝子、特に、細胞内侵入に関わる遺伝子群がT細胞を中心とする宿主免疫系の活性化には影響しないことを明らかにし、さらに、(2)単一遺伝子変異リステリア菌株パネルを用いて、異なる宿主免疫応答を惹起する2種類の変異菌株を得た。この結果、(3)Th1免疫応答を引き起こし感染抵抗性を宿主に誘導する病原体遺伝子と、Th2免疫応答を抑制する病原体遺伝子が異なること、これらの遺伝子は病原性に関わる遺伝子とは独立したものであることを明らかにした。これらの単一遺伝子変異菌は、病原体に対する宿主免疫応答を解析する上で、きわめて強力なプローブになると考える。さらに、(4)リステリア感染による感染初期遺伝子の発現にはTLR2が必要であるが、感染により誘導されるT細胞サブセットのシフトには、TLR2からのシグナルは必須ではないことを示した。
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