2005 Fiscal Year Annual Research Report
HIV-1の吸着侵入機構としてのmultiple-site bindingの証明
Project/Area Number |
16017285
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
原田 信志 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 教授 (60173085)
|
Keywords | ウイルス / 感染症 / エイズ / 細胞膜 / レセプター / 膜流動性 / ウイルス吸着 |
Research Abstract |
HIV-1の侵入には脂質二重膜流動性を利用したmultiple-site bindingがfusion poreの形成に必要である。膜流動性に変化を与える因子を用い、5%の流動性の減少は56%の感染抑制、5%の流動性亢進は2.4倍の感染増強をもたらすことを示した。流動性を制御することでHIV-1の感染を阻止する物質の解析を試みた。膜におけるコレステロールの含量が高いと、流動性は低下する。また、fusion poreの形成は、エンベロープを有するウイルスの侵入に必要である。コレステロール様構造を持ち、広範囲なウイルスに抑制的に作用するグリチルリチン(GL)を用い、その抗ウイルス作用を解明した。1mg/mlのGLはMT-4やMT-2細胞の膜流動性を4%から5%抑えた。また、HIV-1エンベロープの流動性も抑制した。GLは明らかに脂質二重膜の流動性抑制因子であった。GLのHIV-1に対する作用は、0.2mg/mlで50%の感染を抑制し、X4もR5 HIV-1にも作用した。HIV-1粒子に直接作用させると、感染性が低下した。しかし、感染標的細胞を前処理すると効果はなく、1mg/mlではむしろ感染の増強が認められた。GLはインフルエンザAウイルス、VSV-G pseudovirusにも抗ウイルス作用を示したが、ポリオウイルスには作用しなかった。混合培養によるGLの細胞融合抑制はHIV-1とHTLV-1の両方で認められた。しかし、混合する細胞を1mg/mlのGLであらかじめ処理すると、融合細胞の増加が見られた。膜流動性は、MT-4細胞を1mg/mlのGLで持続的に作用させると、20分間抑制されたままであった。しかし、GL作用後洗浄しGL-freeの培地で測定すると、膜流動性は急激に亢進し、膜流動性とウイルス感染性には深い関連が認められた。
|