2004 Fiscal Year Annual Research Report
蚊媒介性熱帯性ウイルス感染による神経・肝細胞死制御機構
Project/Area Number |
16017289
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
森 直樹 琉球大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10220013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
只野 昌之 琉球大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (80179712)
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Keywords | デングウイルス / 日本脳炎ウイルス / アポトーシス / コアタンパク / TRAIL / NF-κB / TNF |
Research Abstract |
蚊媒介性フラビウイルスのうち、デングウイルス(DEN)、日本脳炎ウイルス(JEV)は世界的にその対策が重要である。後者の標的細胞は中枢神経細胞であるが、前者の標的細胞は不明である。我々はDENが肝細胞に感染後、TRAIL発現を誘導し、アポトーシスを引き起こすことを見出し、NF-κB活性化を介したTRAIL発現制御機構を明らかにした。そこで、ラオスにおけるDEN感染者の血清TRAIL値を測定し、解析した。デング熱およびデング出血熱患者の中には血清TRAIL高値の症例が存在し、急性期に比べて回復期には血清TRAIL値は低下した。デング熱患者群に比べ、デング出血熱患者群の血清TRAIL値は高く、肝機能障害を認めた群は認めない群より血清TRAIL値は高かった。2例のデング出血熱患者において、経時的に血清を採取し解析したところ、血清TRAIL値の上昇後に、血清トランスアミナーゼ値の上昇が観察された。また、DEVが誘導するアポトーシスのウイルス側因子として、コアタンパクの可能性を示唆する結果を得ており、Tet ONシステムを構築中である。一方、日本脳炎患者の血清および脳脊髄液のTRAILを測定したところ、急性期に高値を示した。そこで、神経細胞株SK-N-MCにJEVを感染させたところ、アポトーシスの誘導が観察され、TRAILおよびTNF-α mRNAの発現誘導を認めた。SK-N-MCをTRAILおよびTNF-αで処理すると、TRAILにてアポトーシスの誘導が観察された。また、NF-κB阻害剤で前処理すると、JEV感染後のTRAIL mRNA発現の誘導がみられなくなった。さらにIKKγ欠失細胞ではNF-κB活性化が起こらず、JEV感染後のアポトーシス誘導も対照細胞に比べ、軽微であった。以上より、日本脳炎の発症にJEV感染が引き起こすNF-κBの活性化、さらに誘導されるTRAILの発現による神経細胞アポトーシスの関与が示唆された。TNF-αの関与についてはTNF-R1欠失マウスにJEVを末梢接種し、発症死亡率を野生マウスと比較したが、有意差を認めず、TNF-αの関与については否定的であった。
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