2004 Fiscal Year Annual Research Report
病原性抗酸菌の好中球食胞形成機構におけるリピッドラフトの役割の解明
Project/Area Number |
16017293
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
岩渕 和久 順天堂大学, 医療看護学部, 助教授 (10184897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 俊秀 理化学研究所, フロンティア, リーダー (60162004)
大和田 明彦 順天堂大学, 医学部, 助教授 (80233295)
柳田 光昭 順天堂大学, 医学部, 講師 (80365569)
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Keywords | 好中球 / ラクトシルセラミド / 非定型抗酸菌 / マイクロドメイン / 食胞形成 / スフィンゴ糖脂質 / 貪食 / 蛍光標識 |
Research Abstract |
本研究は病原性抗酸菌の食胞形成回避の分子機構を明らかにすることを目的とする。そのために、病原性抗酸菌を好中球が貪食する過程におけるラクトシルセラミド(lactosylceramide, LacCer)のリピッドラフトを可視化し観察することで、どの様な分子が関与するかを動的に捉えると共に、可視化した食胞を分離して、プロテオミクス・グライコミクス解析および脂質構造解析を網羅的に行うことで、好中球の食胞形成と菌の回避機構に関与する分子を同定することを目指している。 本年度は、マイクロダイセクションを用いて食胞を分離するための準備として、直接菌と細胞との結合には関与せず、しかもリピッドラフトに配向性の高い蛍光脂質プローブの同定と開発を行った。具体的には、ポリエチレングリコールを結合させたコレステロール(PEG-Chol)がコレステロールに富む領域、特にリピッドラフトに選択的に取り込まれることに着目して、様々な蛍光色素で標識したPEG-Cholを用いて生きた細胞でのコレステロールやリピッドラフトの動態を観察する方法を開発した。しかしながら、PEG-Cholで標識した好中球は運動能が低下することが明らかとなったので、本研究では用いないこととした。一方、BODIPY-LacCerがMacを貪食する際に食胞膜上に集中的に局在することから、BODIPY-LacCerが特定のドメインに局在するかについてスフィンゴ糖脂質リポソームを利用したFRET実験をおこなった。その結果、BODIPY-LacCerはLacCer、GarCer、GM3、GM1に親和性があるが、GlcCerやスフィンゴミエリンとは会合しないことが分かった。したがって、BODIPY-LacCerが集中したMACの食胞にはスフィンゴ糖脂質、恐らくLacCerが集中していると考えられた。今後は、BODIPY-LacCerを食胞の可視化ツールとしてマイクロダイセクションに応用することとした。 また、スフィンゴ糖脂質をはじめとした脂質の分子種同定と構造解析を微量で行うための方法として、ESI-MSn解析による微量試料を用いた分子種の一斉解析法の開発を試み、fmoleスケールでの分析が可能となった。
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