2004 Fiscal Year Annual Research Report
黄色ブドウ球菌における生体防御攪乱遺伝子の役割について
Project/Area Number |
16017294
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
片山 由紀 順天堂大学, 医学部, 助手 (60365591)
|
Keywords | 黄色ブドウ球菌 / ゲノムアイランド / 病原性遺伝子群 / in vivo細菌感染マウスのリアルイメージング / ルシフェラーゼ / MHCホモログ遺伝子 / CHIPS(Chemotaxis Inhibitory Protein of Staphylococcus aureus) / MRSA |
Research Abstract |
黄色ブドウ球菌で見いだされた、種々の免疫系を攪乱すると予想される遺伝子群と、感染宿主免疫系(ホスト遺伝要因)との相互作用をin vivo動物感染実験系で研究し、黄色ブドウ球菌の持つ病原性メカニズムの解明を行った。1)我々の研究室で行った全ゲノム解読及び比較ゲノム解析の結果を基に、多数の病原性因子がコードされている外来性遺伝子断片ゲノムアイランドのタイピングをPCR法により確立し分類した。2)日本で初めての発光酵素(ルシフェラーゼ)を利用したin vivo細菌感染マウスのリアルイメージング系を確立するため、黄色ブドウ球菌体内で安定に発現するルシフェラーゼのプラスミドを構築し黄色ブドウ球菌体内で発光する事に成功した。3)マウス感染モデルを確立するため、皮膚炎発症マウスを使用しハプテンで皮膚炎を誘発後、皮膚に10^8の黄色ブドウ球菌を塗布し皮膚への定着を検討した。菌塗布から4週間後に皮膚上の菌数を測定した結果、皮膚炎を発症したマウスは、発症していないマウスに比べ、黄色ブドウ球菌の数が有意に多く分離され、これらより皮膚炎発症により菌が定着しやすくなった事を明らかにした。今後、皮膚感染モデル実験系として応用する。4)致死的な壊死性肺炎の起因菌となった強毒MRSA株MW2について、また感染宿主免疫系に関与すると思われる遺伝子、新規MHCホモログ遺伝子、接着因子cna(Collagen adhesin)およびCHIPS(Chemotaxis Inhibitory Protein of Staphylococcus aureus)の宿主免疫系に及ぼす影響を検討した。MW2株の培養液上清を用いてヒトリンパ球のproliferationを検討した結果、臨床分離MRSA株と比較して、MW2では有為に高かった。さらに、上記遺伝子の過剰発現変異株を作成し、それらの培養液上清及び膜タンパク分画を用いて同様にヒトリンパ球のproliferationを検討した結果、MW2のMHCホモログ過剰発現変異株のその活性化が、,親株に比べて低くなっていた。これらより、MHCホモログが感染宿主免疫系の相互作用に関与している事が明らかになった。
|
Research Products
(2 results)