2004 Fiscal Year Annual Research Report
クロマチンリモデリングを指標としたアナジー記憶の誘導と維持機構の解析
Project/Area Number |
16017295
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
垣生 園子 東海大学, 医学部, 教授 (30051618)
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Keywords | スーパー抗原 / 細菌性外毒素 / アナジーT細胞 / proximal / distal / enhancer領域 / ヒストンアセチル化 / クロマチンリモデリング |
Research Abstract |
黄色ぶどう球菌による感染症では、当該菌が産生する外毒素TSST-1により生体に2つの反応、トキシックショックとT細胞のアナジーを誘導する。その後の感染等に対する免疫不応答を誘導するという点から、アナジーの持続性とアナジー誘導の機構を明らかにすることは重要である。我々は、TSST-1刺激後のアナジーの持続性を通常免疫記憶と異なったクロマチン構造の変化と捉え、TSST-1とOVAとのみ反応するTCR-Tgマウスを用いて両抗原で刺激したT細胞の差異を比較している。本年度はIL-2遺伝子の調節領域におけるヒストンのアセチル化状態をChipassayで解析した。 興味深い発見の1つは、IL-2遺伝子の発現制御領域は、静止期T細胞ですでにヒストンのアセチル化が転写開始点上流広域に渉って亢進していることであった。この事実は、転写因子に特異性がないのに、T細胞特異的にIL-2が発現する機構に1つの方向性を示した。この領域のヒストンアセチル化は、PMA/Ino刺激或いはOVA一次刺激後4-12時間の間に亢進し、その後収束して静止期レベルに戻る。しかし、TSST-1刺激では、enhancer/promoter領域のうちdistal部位ではアセチル化レベルはB細胞以下に低下した。In vivo或いはin vitroの一次刺激で誘導されたアセチル化低下状態は、in vitroの2次刺激により回復をすることはなく、B細胞レベルのままであった。Proximalとdistal領域は隣接しており、前者には転写因子(T/B細胞に共通の)が多く結合しており、後者では静止期からT細胞に特異的にDNase-1 hypersensitive siteがあることが知られている。ヒストンのアセチル化は遺伝子発現と密接に関運しているので、distal領域のアセチル化低下は、同領域のaccessibilityの低下とproximal領域に結合した因子のアセチル化低下に繋がり、その結果IL-2遺伝子発現の抑制が誘導されると推測された。この点を今後は確認しながら、T細胞アナジーの分子機構の解明を進めたい。
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Research Products
(5 results)