2004 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア原虫の侵入を許す赤血球(宿主細胞側)の必要・十分条件の解明/予防と治療の手がかりを探る
Project/Area Number |
16017296
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
高桑 雄一 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (40113740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萬野 純恵 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (10101205)
加藤 昌彦 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (30349641)
小早川 隆敏 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (10072951)
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Keywords | マラリア原虫 / 赤血球 / バンド3 / レクチン / アンキリン / 限定分解 |
Research Abstract |
昨年度、赤血球の膜貫通蛋白質(バンド3)の糖鎖に予めレクチン(WGA)が結合するとマラリア原虫(Plasmodium falciparum: Pf)の侵入が阻害されることを示し、その機序として分子間相互作用(WGAパンド3-アンキリンースペクトリン)を介する赤血球変形能の低下の関与を明らかにした。本年度は、Flowcytometerを用いて、既にPfに感染した赤血球(感染赤血球)の膜表面性状の変化をFITC-WGAの結合性で検討するとともに赤血球膜蛋白質の限定分解についても検討した。 その結果、赤血球に感染後の未成熟段階では程度は減少するもののFITC-WGAの結合性が保たれていたが、成熟段階では全く結合しなかった。このことは、赤血球内でPfが成熟する過程で何らかの情報が赤血球膜骨格-赤血球膜貫通蛋白質の分子間相互作用の変化を介して細胞表面に伝達され、FITC-WGの結合性が低下することを示唆している。その分子機構として(1)成熟段階の感染赤血球ではアンキリンが限定分解されていること(2)アンキリンが限定分解されているゴーストヘのFITC-WGAの結合性が低下すること(3)限定分解産物の赤血球反転膜小胞(バンド3)への結合において協同性が失われること、が明らかになった。 これらの結果から、成熟段階のPfが産生する何らかのプロテアーゼがアンキリンを限定分解し、バンド3との結合の協同性が失われることでバンド3の会合状態および表面構造が変化してFITC-WGAの結合性が低下したと考えられた。バンド3など赤血球膜貫通蛋白質へのPf由来因子(MSP1など)の合はPf侵入の引き金となることから、この赤血球表面にもたらされる変化は既に感染したPfが自身の生存のために他のPfの侵入を許さない仕組みと解釈するとマラリア原虫にとっては有利な機構であると考えられる。
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[Journal Article] IL4 Polymorphism and IgE Levels in Malaria-Endemic Islands in Vanuatu2005
Author(s)
Dzodzomenyo M., Kaneko A., Kikuchi M., Ubalee R., Osawa H., Tsukuhara T., Tanihata T., Perlmann H., Hirayama K., Kobayakawa T
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Journal Title
Journal of Tokyo Women's Medical University 75・3,4(in press)