2004 Fiscal Year Annual Research Report
多剤排出システムを基盤にした多剤耐性感染症克服のための戦略の創生
Project/Area Number |
16017301
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
後藤 直正 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (30121560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西野 武志 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (50097838)
福島 淳 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教授 (00181256)
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Keywords | 緑膿菌 / マルチコンポーネント型RND排出システム / 抗菌薬耐性 / 病原性 / Pseudomonas aeruginosa / RND multicomponennt-type efflux system / antibiotic resistance / patogenicity factors |
Research Abstract |
院内感染の起因菌であり、抗菌薬多剤耐性化が問題となっているグラム陰性菌の緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の感染症を克服することを目的として下記の研究を行った。本菌の抗菌薬多剤耐性化の一因は染色体上にコードされたマルチコンポーネント型RND排出システムによる抗菌薬や消毒薬の細胞外への能動的排出にある。本排出システムの研究はすでにクローン化された数種のRND排出システムをターゲットに行われてきたが、ゲノム配列の決定は本菌の染色体上には少なくとも12種類のRND排出システムがコードされていることを明らかにした。そこで、これらの12種類の排出システムの機能について研究し、下記の結果を得た。 1)12種類の排出システムのノックアウト株を作成し、さらにRND排出システム遺伝子群をクローン化することにより、高発現システムを構築した。 2)12種類の排出システムのノックアウトにより、抗菌薬耐性度の減少が観察された。 3)12種類の排出システムのノックアウトは、クォーラムセンシングに関与するオートインデューサー化合物の細胞外輸送の減少および緑膿菌の病原因子(運動性、プロテアーゼ、エラスターゼ)の減少をもたらした。さらに、in vitro内因感染症モデルであるMDCK細胞モノレイヤ透過実験での透過性の減少も引き起こした。 以上の結果から、12種類のRND排出システムは、抗菌薬耐性のみならず、本菌の細胞間情報伝達機構であるクォーラムセンシングに関与し、さらにその結果、本菌の病原性発現に影響することが明らかとなった。これらの知見から12種類のRND排出システムの阻害や発現の制御によって本菌感染症の克服が可能であることが示唆された。
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Research Products
(6 results)