2005 Fiscal Year Annual Research Report
多剤排出システムを基盤にした多剤耐性菌感染症克服のための戦略の創生
Project/Area Number |
16017301
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
後藤 直正 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (30121560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 倫洋 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (00411033)
福島 淳 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教授 (00181256)
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Keywords | 日和見感染菌 / 緑膿菌 / セラチア菌 / ゲノム / 血液感染 / 系統解析 |
Research Abstract |
本研究の目的は日和見感染菌として緑膿菌およびセラチア菌を材料に日和見感染菌の本態を明らかにし、その情報をもとに日和見感染症の新規治療法の創生を行うことにある。緑膿菌やセラチア菌は免疫不全の易感染宿主で種々の感染症を引き起こすグラム陰性の日和見感染菌であり、点滴液やカテーテルなどの医療器具の汚染による血液感染が問題視されている。両菌の血液感染をテーマにその自然免疫系の回避を細菌側から解析し、次の結果を得た。1.ゲノム情報を基に、PCR増幅した全遺伝子を貼り付けたマイクロアレイを作成し、臨床分離株と環境分離株のゲノム構造を比較したところ、臨床分離株特有の遺伝子を同定した。2.マウスおよびカイコのでの緑膿菌およびセラチア菌に対するレスポンスを明らかにし、鉄獲得系の遺伝子群が血液環境での生育に必須であることを明らかにした。3.House-keeping genesの配列を基に、血液分離株および環境分離株の系統を調べ、特異的なクラスターが存在することを見出した。このクラスターとヒト血清に対して耐性を示す菌株の分布が一致することを明らかにした。4.系統解析によるクラスターのうち、臨床分離株が分布するクラスターに多剤耐性菌が存在することを見出した。以上の結果から、ヒトに対して病原性を発揮する菌株はある系統のクローンから派生していることを明らかにした。これらの結果をもとに、病原性を発揮する菌株の同定と特定法を構築することによって、日和見感染菌による感染症の防止策の考案が可能になるものと考えられる。
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Research Products
(5 results)