2004 Fiscal Year Annual Research Report
同種指向性マウスレトロウイルスEnvとその受容体の機能構造
Project/Area Number |
16017306
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
天沼 宏 独立行政法人理化学研究所, 長田抗生物質研究室, 協力研究員 (70107382)
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Keywords | マウスレトロウイルス / エンベロープ蛋白質 / 感染受容体 / キメラ蛋白質 / ケモカイン受容体 / 遺伝子導入 / 標的化ベクター |
Research Abstract |
マウス同種指向性白血病ウイルス(E-MLV)の細胞侵入を担うエンベロープ蛋白質(Env)と細胞膜に存在する感染受容体の機能を分子レベルで解明する。このためにEnvの構造をペプチドリガンド配列の挿入により修飾して、感染受容体指向性を人為的に改変するという方法を取る。 今年度においては、第1に、すでに受容体指向性の改変に成功したCXCR4指向性Envについて、挿入リガンドであるSDF-1αの修飾により細胞侵入効率がどのように変化するかを調べた。N末側にCXCR4結合部位があるSDF-1αの配列をC末側から種々に削り、またCysからGlyへの変異を導入して7種の短鎖SDF-1αキメラEnvを作製した。それぞれのEnvのウイルス粒子への取り込みを調べたところ、全長(68アミノ酸)のものと65まで短くしたものは変化ないが、56や51にすると粒子にほとんど入らなくなり、35や17にすると全長のものより、より多く入るようになった。鎖長によらずCysのGlyへの変異は粒子への取り込みを増やした。これらのキメラEnvを持つlacZベクターのCXCR4経由細胞侵入を測定した。65のものが全長のものの約1/10の効率で侵入したが、その他のキメラEnvベクターは全く侵入しなかった。 第2にE-MLVの感染受容体となり得る膜蛋白質の構造的必要条件を知るために、CXCR4に続く第2の例を探索した。CCR5とCCR7とを候補とした。CCR7のリガンドであるCCL19(ELC)を挿入したキメラEnvベクターがCCR7依存的に遺伝子導入する事を見いだした。CCR5に関しては数種のリガンドキメラEnvベクターを試したがCCR5依存的遺伝子導入は観察されなかった。CCR7は7TMのケモカイン受容体であるが、HIVの共受容体ではない。従って、HIVの共受容体として機能することはE-MLVの感染受容体としての必要条件ではないと思われる。
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