2005 Fiscal Year Annual Research Report
感染防御免疫を誘導する糖鎖変異エイズウイルスの初期感染機序の解析
Project/Area Number |
16017309
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
森 一泰 国立感染症研究所, エイズ研究センター, 主任研究官 (20270655)
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Keywords | エイズウイルス / 糖鎖 / SIV / 弱毒ウイルス / 初期感染 / メモリーCD4+T細胞 / 消化管粘膜組織 |
Research Abstract |
エイズウイルス(HIV/SIV)外膜に存在するスパイクを構成するEnvタンパクには多数のN結合型糖鎖が存在する。この糖鎖はEnv表面の大部分を覆い、宿主免疫がウイルス感染制御を困難にしている原因と推測される。SIVmac239を用いたサルエイズモデルを元にEnv SUに付加している22個の糖鎖のうち5個を欠損した変異(d-5G)が宿主により感染制御されること、d-5G感染ザルにはSIVmac239に対する強い防護免疫が誘導されていることを明らかにした。この原因としてd-5G感染に誘導される獲得免疫の解析を行ったが、糖鎖欠失による特定の獲得免疫(中和抗体、細胞性免疫)が誘導されるという結果は得られなかった。そこで獲得免疫が誘導される前の初期感染過程に両ウイルス感染に違いがあると考え、リンパ組織、消化管組織等における感染細胞の分布、感染標的細胞の同定、CD4+T細胞の動態について解析を行なった。SIVmac239感染では、リンパ組織、消化管組織など多くの組織で持続的なT細胞の感染が見られたが、d-5G感染では消化管組織のT細胞で時間的、空間的に限局された感染が見られた。感染によるメモリーCD4+T細胞の減少はSIVmac239感染においてのみ顕著であった。両ウイルス感染においてもまず消化管粘膜組織CD4+T細胞で感染が起こるが、全身リンパ組織への感染拡大は病原性SIVmac239感染のみで起こり、d-5G感染では収束した。このような感染動態および感染細胞の分布の違いが糖鎖修飾によるウイルス病原性の変化と密接に関連していることが推測された。
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[Journal Article] Influence of glycosylation on the efficacy of an Env-based vaccine against SIVmac239 in a macaque AIDS model2005
Author(s)
Mori, K., Sugimoto, C., Ohgimoto, S., Shioda, T., Kusagawa S., Takebe, Y., Kano M., Matano, T., Yuasa T., Kitagawa D., Miyazawa, M., Takahashi, Y., Yasunami, M., Kimura, A., Yamamoto N., Suzuki Y., Nagai, Y.
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Journal Title
Journal of Virology 79
Pages: 10386-10396